パターンに強みのあるブランド アトウ
独特のフォルムと高いデザイン性が人気のブランド、アトウ(ato)は、着用する人自身の個性を尊重したファッションを掲げており、特にパターンを重視するブランドとして知られています。
デザイナー 松本与
アトウを立ち上げたデザイナーの松本与氏は、1962年8月30日に松本家の長男として生まれました。彼が生まれた家は名家で、父の松本冠也は電機メーカーのパイオニア(Pioneer)で会長を務めたことがあり、祖父にはパイオニア創設者で初代社長の松本望がいます。母方の家系は維新の元勲が勢ぞろいしており、歴史上の人物として有名な岩倉具視は、松本与の曽祖父です。
進学した大学では、工学部電子工学専攻を学びます。有名な電機メーカーの家で生まれ育ったこともあってか、エンジニアに進みたいという希望を持っていた松本与でしたが、たまたま留学するチャンスが巡ってきました。
洋服が好きだったこともあり、英語を学びつつファッションの勉強ができればという思いで、ニューヨークにあるファッション工科大学に留学することになります。
ここで服作りの基礎と楽しさを学んだ帰国した松本与でしたが、一旦はサラリーマンとして企業に就職しました。しかし、次第に自分の手で何かを作りたいという思いが強くなり、友人と共にグラフィックデザインの仕事を開始します。
最初はポスターのデザインなど依頼された仕事を行っていましたが、次第に自分から発信したいという思いが強くなり、その思いの末行き着いたのが洋服でした。
アトウのスタート
1993年、メンズウエアブランドとしてアトウを立ち上げ、同時に南青山にショップをオープンさせます。当初はパタンナーを担当する友人らと3人でブランドを立ち上げましたが、方向性の違いが生じたため、運営や経営に携わっていた松本与だけがブランドに残る形になりました。
仲間が去ってからも精力的に服作りに専念していった結果、翌年には東京コレクションに参加し、トップデザイナーとして早くも頭角を現します。
1999年には、バーニーズニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)といった有名セレクトショップでも取り扱いされるようになり、2000年に海外進出を果たしました。
この年、パリで開催した春夏シーズンの展示会を成功させると、本格的な海外でのブランド展開に着手していきます。
美しいシルエット
立体裁断を施した美しいシルエットは、ブランドを代表するテーラードジャケットなど、定番といわれる名作を生み出しました。
2003年の秋冬シーズンからはレディースラインも新たに投入し、2007年からは婦人服ブランドのインディヴィ(INDIVI)のクリエイティブ・ディレクターも兼任しています。