世界のセレブに愛されたイタリアの老舗帽子ブランド「ボルサリーノ(Borsalino)」が、現地時間の2017年12月18日に破産手続きを申請した、と現地のメディアによって報じられました。
ボルサリーノの凋落
古くはハリウッドの名優ハンフリーボガート(Humphrey DeForest Bogart)に始まり、マイケルジャクソン(Michael Jackson)や、現代のファッションアイコンであるファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)、日本では政治家の麻生太郎氏などが愛用していることでも知られているボルサリーノ。ブランド名がそのままタイトルになったフランス映画『ボルサリーノ』だけでなく、様々な映画で印象的な登場をすることも多く、160年の歴史を持つトップブランドでしたが、無謀な経営がもたらす破綻の道からは、逃れることができなかったようです。
移った経営権
2015年には、約3500万ドル(日本円で約39億4200万円)もの負債を抱えて経営難に直面していたボルサリーノを救済するために、イタリアの投資会社ヒエレスエクイタ(HAERES EQUITA)が経営権を握ることとなりました。その際の企業価値は、たった2000万ユーロ(23億6000万円)と見積もられたといいます。また、同年にはボルサリーノの元オーナーであったマルコ・マレンコ氏(Marco Marenco)が詐欺と脱税によって逮捕されており、ボルサリーノがいかに危機に瀕していたかがうかがえます。
ボルサリーノ再建への道
その後2017年の4月には、ブランド創業160周年を記念する記念切手も発売するなど再建への道を模索していましたが、裁判所はボルサリーノの債権者に対する支払いに関してはヒエレスエクイタ側の提案を承認した一方で、事業の再建と約120人の従業員に対する救済案については棄却しています。この救済案は、再度の提出が試みられましたが、やはり棄却されてしまい、これにより事実上、再建への道が閉ざされてしまった状態となっています。
ただし、ボルサリーノの経営権を持つヒエレスエクイタのCEO、フィリッペ・カンペリオ氏(Philippe Camperio)は「私たちは引き続きブランド継続のための道を探していく」と語っており、世界中のハット愛用者たちにとっては、今後の動向が気になるところではないでしょうか。