「世界で最も成功したロックバンド」とも呼ばれるザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)と、シルバー界の最高峰に君臨するクロムハーツとのコラボレーション「Chrome Hearts & The Rolling Stones」が実現したのは、2002年11月のこと。ロサンゼルスのファッションショーで、プレス関係者や各界のセレブリティーを招いて正式に発表されました。
ローリングストーンズは、1962年4月に結成されて以来50年以上も解散することなく活躍し続け、現在までにリリースしたアルバムは20作以上。その通算売上枚数は2億枚を超えると言われています。そのローリングストーンズ側から「自分たちのトレードマーク"Lip & Tongue(リップ&タン)”をフィーチャーしたコレクションを企画できないか?」とオファーがあったのをきっかけに、この世紀のコラボレーションが誕生したのです。
ストーンズのアイコン リップ&タン
ローリングストーンズの象徴的アイコン、リップ&タン、日本語では「ベロロゴ」とも呼ばれる、真紅のセクシーな唇から舌を長く出したこのモチーフ。ポップアートの巨匠アンディ・ウォホールがデザインしたという説がありますが、実際のところは、当時まだアートスクールの学生だったジョン・パッシュ(John Pasche)という人物です。彼はこのロゴを作るにあたって、「反権威主義と、ミック・ジャガーの口という性的なイマジネーションを喚起するものとして考案した」「簡単に再現できて、しかも時代の変化にも色褪せないことを念頭に置いた」と語っており、正式には「Original Red」と名付けられ、1971年リリースのアルバム「Sticky Fingers」(スティッキーフィンガーズ)から使われました。
両雄が語るコラボレーションへの思い
クロムハーツとローリングストーンズ、この一大コラボレーションが実現するにあたって、両者はそれぞれこう語っています。リチャード・スタークとローリー夫人は「俺たちは今までやりたいことをやって来たけど、まだまだ足りない。俺たちはロックが好きだし、ローリングストーンズを愛している。だったらやるしかないだろ?」、そしてローリングストーンズでドラムを担当するチャーリー・ワッツは「クオリティーやディテールに対して妥協することなく追求する彼らのスタイル、そんな彼らとのコラボレーションに、俺たちも大興奮だよ」。
互いの熱い思いによって実現したこのコレクションは、全てがローリングストーンズのために作られたもので構成されており、企画の時点から最終段階に至るまで、ローリングストーンズ自身も積極的に関与しています。例えば定価に関しては、「誰でも気軽に買えて、身に着けられる物であってほしい」というローリングストーンズ側の意向によって安く抑えられており、近年のクロムハーツ値上げの際にも、「Chrome Hearts & The Rolling Stones」コレクションは価格据え置きとなっています。