ジョー・フォティという人物
ジョー・フォティ(Joe Foti)は、1962年4月22日ニューヨーク州クイーンズ生まれ。クロムハーツの創業者リチャード・スタークの古くからの友人であり、1990年からブランドのアート担当に就任している人物です。1998年から2003年までは、日本に拠点を置いて活動していました。彼は、「クロムハーツが愛するものを、クロムハーツを愛してくださる皆様へ」という、アート好きなリチャード・スタークの熱意によって始まったアート展で、何度か個展を開催しています。
初の個展「Fisting Scars」
最初の個展は2002年2月、「Fisting Scars」と銘打ってクロムハーツ東京で開催。同じ2002年の9月にはクロムハーツ大阪で「Phantasmagoria」が開催されています。その際のスカルフィギュアアートが好評だったため、2003年からは「FOTI by CHROME HEARTS」という、自身の名を冠した作品シリーズもスタートさせることとなりました。
そのシリーズには、二等身にも満たない可愛らしいフォルムが特徴的なハリスティーターや、ボーイスカウト姿のスカルが大きなナイフを持っているペペ、その他デルフィーノ、トゥイーティー、ミスラーレン、クリッツェン、マハリア、ビュフォード、ナスカル、スキッピー、ジャービス、スキーターといった12種類のコミカルでポップなスカルたちが登場し、それまでスカルモチーフを作っていなかったクロムハーツにとって、画期的とも思える作品群で話題を呼びました。
「FLOOJIN STAMP ART SHOW」
その後、2009年には、クロムハーツ東京とクロムハーツ大阪でJoe Foti Art Exhibition「FLOOJIN STAMP ART SHOW」には、全身レザーのトルソーやクロムハーツの衣装に身を包んだバービー人形なども登場。限定のTシャツやバンダナなどが販売された他、ノベルティグッズとしてマグカップやコインケースが配られました。
「HERE COMES MR.OCULUS」
さらにその2年後の2011年11月には「HERE COMES MR.OCULUS」(ミスター・オキュラスがやって来た)を開催。「ミスター・オキュラスとは宇宙船の一種で、海賊のように銀河を徘徊し芸術品を略奪する。「オキュラス」は、ローマ神殿パンテオンのドーム頂上にある採光のための開口部「オキュラス」「オクルス」(ラテン語で「目」の意)に由来しており、その開口部を通って出入りすることから名づけられている。そしてその一瞬のスピードは、人間の目で捉えられないくらい速い」というフィクションの世界観を表現した展示会でした。
ジョー・フォティは、ヨーロッパを旅している時にこの個展のアイディアが生まれた、と語っています。第二次世界大戦中は芸術品の略奪が横行していました。かつてのナチスの軍人たちによって、絵の部分だけナイフで切り取られた額縁の残骸がいくつもあり、それらの絵は今も行方がわからないまま、二度と見つからないと言われています。そういったエピソードにインスパイアされたのが「HERE COMES MR.OCULUS」でした。