初の直営店

「コーチ(COACH)」は、1980年に社名を「コーチ・レザーウエアー・カンパニー(Coach Leatherware Company)」に変更した後、ルイス・フランクフォートが新事業を担当し販売経路を拡大していきます。 まず行ったのが、コーチ製品を広く認識してもらおうとカタログを制作。 1981年には、これまではアメリカ北東の一部デパートでのみ販売されていたコーチ製品をより多くの人の手に取ってもらえるようにと、コーチ初となる直営店をマンハッタンにオープンさせました。 直営店の人気ぶりは素晴らしく、デパートの売り上げ増加にも繫がり、ブランドとして大きく発展していきます。

総合ファッションブランドへ

1985年食品メーカーのサラ・リー社に売却され、創業者のカーン夫妻が引退。ルイス・フランクフォートが社長となり直営店戦略を拡大し、皮革製品企業から総合ファッション企業へと生まれ変わっていきます。 1988年には日本に進出し、横浜の百貨店内に初の日本店舗がオープン。しかし、1990年代半ば頃、女性のファッションスタイルに変化が見られ、カジュアルファッションが流行。 コーチのクラシックなデザインよりも、ファッションコーディネートアイテムとしてのカジュアルなバッグが求められるようになっていきました。

リード・クラッコフの革命

そこでコーチは斬新なデザインを求め、1996年に新しくエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターして32歳の「リード・クラッコフ(Reed Krakoff)」を迎えます。 彼は伝統的なデザインを大切にしながら、これまでのコーチにはなかった斬新なデザインで革命を起こしていきました。 1998年に、それまでの重厚でクラシックなコーチデザインから一新、軽くてスリムなナイロン素材のネオ・コレクションを発表。 1999年に公式サイトとオンラインストアを開設し、2001年には今やコーチのシンボルとも言えるシグネチャーコレクションを発表します。 リード・クラッコフの代表作であるこのコレクションは、COACHの頭文字“C”をモノグラムのモチーフにしてキャンバス地に織り込んだもので、アメリカや日本で大ヒット。 その後も驚異的なスピードで多くのコレクションを発表し、さまざまな製品を展開していきました。

レガシーコレクションの発表

2006年、コーチの65周年を記念して、真鍮の金具や外ポケットなど初代コーチのデザインを再現した「レガシーコレクション」を発表。 これまでの伝統や発想を、現代的なスタイルと組み合わせたレガシーコレクションは、コーチのブランドイメージをさらに洗練されたものへとアップさせました。同じ2000年代後半にアジア圏へ販路を拡大し、中国をはじめ香港やマカオなどに店舗を展開。

「コーチ・ジャパン」の誕生

日本での展開としては、2001年に住友商事とアメリカコーチの出資で「コーチ・ジャパン」が誕生しました。 2002年5月、銀座に日本で初めてのフラッグシップショップをオープンした後は札幌や梅田など全国に店舗を展開し、今では日本でもトップブランドとして認知されています。 2013年、プレジデントも兼任していたリード・クラッコフが退任。その後、新しくエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターとしてスチュアート・ヴィヴァースが入社しました。 カルバン・クラインやマーク・ジェイコブスなどヨーロッパブランドで経験を積んだ彼は、コーチのデザインをよりファッショナブルなものへと進化させ、今現在もコーチの新しい歴史を築いています。
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