「GANRYU」(ガンリュウ)は2008年にコムデギャルソンからデビューしたブランドです。デザイナーは丸龍文人(がんりゅうふみと)、ブランド名はその名字に由来しています。そして、ギャルソン社の中では珍しいネット販売を行うブランドでもあります。
ガンリュウの始まり
丸龍は1976年、福岡に生まれました。文化ファッション大学院大学在学中に「第3回 YKKファスニングアワード優秀賞」を受賞。この時のテーマは「機能美と美機能」で、全てゼロから服を作らなくても、ファスナー自体に装飾などを施し、簡単に変化させられる服、を制作しました。
その後、卒業とともにコムデギャルソン社に入社。しばらくは渡辺淳弥のもと、ジュンヤワタナベ・コムデギャルソンのパタンナーとして経験を積んでいました。そして2008年に自身の名を冠した「GANRYU」でデビューすることとなります。
ブランドの魅力
ブランドのコンセプトは、「ポップと前衛とベーシック」。世の中になかった新しい形の服を生み出す、というコムデギャルソンのスタンスを踏襲しながらも、丸龍自身のフィルターを通して、現代のファッションシーンになじむ服を提案しています。
サルエルパンツなどボトムのシルエットに遊びを取り入れた作品が特徴的で、彼自身、1990年代、学生の頃からそのようなスタイルが好きだったようです。
ゆったりとしたシルエットのサルエルなどを好んで穿きながらも、トップスにはかちっとしたテーラードを合わせたり、足し算と引き算を考えてニュートラルな状態を保ったコーディネートを意識していたとのことです。
その考えはコレクションの発想にも引き継がれており、どういう物を組み合わせるのがありえないか、を常に考えていると語っています。
正反対の要素を使っていかに腑に落ちる組合せを作れるか、そのバランス感覚が様々なミックステイストを生んでいる要因と言えるかもしれません。
丸龍の考えるコレクション
さらに丸龍は、コレクションを発表するたびに納得がいっていないとも語っています。これは、中途半端な出来、という意味ではなく、自分なりのボーダーはクリアしているものの、まだ誰もやっていない所を目指しているので、模索しながら見つけていくしかないのだ、という意味です。
世の中にない方向を目指し、コムデギャルソンだけでなく、誰も到達したことのないビジョンに辿りつきたい。そしてそれがスタンダードになりうる物作りがしたい。デザイナー丸龍文人にとって、自分がまだその過程にいるのだという思いが、これからも挑戦し続けるガンリュウを見せてくれることでしょう。