デザイナー 渡辺淳弥
コムデギャルソン社の中において2002年から始まったのが、コムデギャルソン・ジュンヤワタナベ・マン(COMME des GARÇONS JUNYA WATANABE MAN)です。ジュンヤワタナベ・マンのデザイナーである渡辺淳弥は、1961年に福島県で生まれました。
1984年には文化服装学院のデザイン科を卒業し、ギャルソン社に入社。しばらくは川久保玲の元でパタンナーとして修業を積んだ後、1987年にトリコ・コムデギャルソンのデザイナーに就任しました。
以来、様々なブランドに関わりながら活躍し、1995年には日本エディターズ・クラブのデザイナー賞を受賞、1999年には毎日ファッション大賞も受賞しました。そして2005年から現在に至るまで、同社の副社長を務めています。
ブランドのコンセプト
その渡辺淳弥が立ち上げたコムデギャルソン・ジュンヤワタナベ・マン。ブランドのコンセプトとなっているのは、「ベーシックな物に新たなフィーリングを取り入れる」ことです。
全く新しい物をゼロからクリエイティブするのではなく、既に存在しているベーシック、トラディショナルなアイテムを、ジュンヤワタナベのフィルターを通して新たな解釈を加えることで、新しい価値を見出すのです。
その触媒となるのは新素材だったり、ひとつのアイディアだったりですが、例えばデニムにヴィンテージ加工を施す、デニムでドレスを作ってしまう、ドローコードで変幻自在にシルエットを変えられる服を作ってしまう、などです。
特徴的なパッチワーク
ジュンヤワタナベ・マンの特徴としてパッチワークがよく挙げられますが、2015年の春夏コレクションでは、東北の農村の「ボロ」や江戸の粋といったジャポニズムの要素をちりばめた、これでもかというほどのパッチワークが話題を呼びました。
多くのコラボレーション
またこのコンセプトに基づいて、実に多くのカジュアル・スポーツ系のブランドとコラボレーションしており、ブランド名同士のダブルネームをスタンダードに押し上げたのもジュンヤワタナベ・マンだったと言ってもよいでしょう。
デニムならリーバイス(Levi's)、ワークウェアのディッキーズ(Dickies)、ダウンジャケットの名門モンクレール(Moncler)、デュベティカ(Duvetica)、アウトドアブランドの老舗ノースフェイス(North Fase)、ブランケットやネルシャツ等で知られるペンドルトン(Pendleton)、レザーライダースジャケットのバンソン(Vanson)、スポーツ系であれば、チャンピオン(Champion)やラコステ(Lacoste)のアイテムをベースとしてカスタマイズするなど、数え上げればきりがないほどです。
その他、意外なところでは、老舗ラグジュアリーブランドであるロエベ(Loewe)とのコラボレーションは、その新鮮さで話題を呼びました。
こういったスタンスでクリエイションを展開するコムデギャルソン・ジュンヤワタナベ・マンが、今後どのように変化していくのか、どんなブランドと化学反応を見せてくれるのか、ファンの期待が集まるところです。