アメリカを代表する老舗スニーカーブランド、コンバース(CONVERSE)。シンプルなデザインで様々なファッションにも合わせやすく、豊富なバリエーションで日本においてもトップクラスの人気を誇るスニーカーブランドです。
こだわりのバルカナイズド製法
コンバースのように昔からデザインがほぼ変わらないローテクスニーカーは、バルカナイズド製法で作られています。
これは、コンバースに限らずスニーカーの歴史の中でも非常に古い製法で、スニーカーの本体とソールの間に固まっていないゴムをはさんで、特殊な専用の釜に入れ100度以上の高温で圧力を加えながら硫黄などの加硫剤を加えることでゴムを固めて本体とソールを接着する製造方法です。
こうすることで本体に使用したキャンバス生地とゴムが強く圧着されて、異素材の組み合わせでも一体化することを実現しています。
バルカナイズド製法は、接着剤でゴムを張り合わせるよりもしなやかな動きを実現し、経年劣化にも強く、はがれにくいという特徴があります。
さらに、スニーカーの本体とゴム底の境目を補強するためにラバーテープをぐるりと巻いているので、横やななめ方向への動きに対しても強い耐久性を持ち合わせています。
高度な設備と大変な手間、コストがかかる製法ですが、バルカナイズド製法で製造されたスニーカーは、軽さ・耐久性など性能面はもちろん、独特なレトロな雰囲気から多くのファンに長年愛されるスニーカーを生み出すことができます。
製法の由来
バルカナイズド製法は、アメリカの発明家であるチャールズ・グッドイヤー(Charles Goodyear)によって、1839年に開発されました。
当時のゴム製品は劣化しやすく、ゴム特有の匂いが取れないなど品質に問題があり、グッドイヤーは良質なゴム製品を開発するため数々の実験を繰り返していました。
その中で、ゴムと硫黄を混ぜた実験中に偶然にも適度な弾力と質感を持ったゴムを誕生させたのです。
しかし、偶然の産物ゆえ、きちんとした成分や仕組みが構築されておらず、グッドイヤーはイギリスの発明家、トーマス・ハンコック(Thomas Hancock)にゴムの分析を依頼し、ハンコックは時間をかけより品質の良いゴム製品を製造する理論構築に成功しました。
バルカナイズド製法は、非常に強く圧着しているのでソールが擦り減ったり壊れたりしても修理できないという欠点があります。しかし、これこそがバルカナイズド製法の持ち味で、履き慣らしてすり減ったソールが独特のワイルド感を演出してくれます。
バルカナイズド製法によって生み出される丈夫でクラシカルな雰囲気が、コンバースのスニーカーが長い歴史の中で衰えることなく人気を保ち続ける理由のひとつとも言えます。