アメリカで創業したダナー(Danner)は、長年世界中の人々に愛され続けているブーツブランドです。ブーツといっても、アウトドアブーツ、ワークブーツなどたくさんの種類があります。老舗ブーツブランドとして成功したダナーですが、創業当初に作っていたのは、職人用のワークブーツのみでした。
ダナーが誕生したのは、1932年のアメリカ・ウィスコンシン州です。代表のチャールズ・ダナー、職人のウィリアム・ウィエンハーグとその甥の3人でスタートしました。
大恐慌の真っただ中だったアメリカで販売したのが、森林伐採の仕事で使うワークブーツ1種類だけでした。低価格で長く使えるように作ったワークブーツは、当時の価格4ドルで販売しました。
1936年、オレゴン州に拠点を移動したダナーが次にターゲットにしたのが、北西部太平洋岸の開拓者です。木を伐採する作業がしやすいよう、靴底に鋲を付けたブーツを作りました。ブーツブランドとして決して儲かる仕事ではありませんでしたが、「働く人のために最高の靴を作る」というポリシーを一貫して守り続けた品質の高さが評判を呼び、作業ブーツブランドとして名を広めていきました。
1952年、アメリカで初めて「ビブラム」という高い性能を持つインソールを採用します。このパフォーマンスの高いインソールを採用したおかげで、ハードな環境でも耐久性のある靴が作れるようになりました。
また、ハイキングや登山などのレジャーがアメリカ中で広まり、ハイキングブーツや登山用ブーツの需要が高まっていったのです。この流行に上手く乗ったダナーは、履きやすく耐久性に優れたブーツとして注目されるようになります。
1960年、ようやくブランドとしてのダナーの地位を築いた瞬間でした。この頃に、ハイキングブーツとして今も人気を誇る「エルクハンター」や「マウンテントレイル」の名品が誕生します。
1979年になると、ゴアテックス社との共同開発が始まります。そして翌年、世界初となるゴアテックスを採用したブーツ「ダナーライト」の発売を開始しました。
防水透湿素材であるゴアテックスを靴に採用することは極めて難しいことでしたが、見事実用化し商品となったのです。このダナーライトは、完全防水ブーツとして今でもダナーを代表する商品となっています。
今でこそカジュアルで見た目にもスタイリッシュなダナーのブーツが多くありますが、ここまで人気が続くのは、履き心地が良く丈夫で長持ちするという基盤がしっかりと構築されているからです。創業当初から変わらぬポリシーを感じられるブーツだからこそ、多くの人に長く愛され続けているのでしょう。