ディオールオムとは
ディオールオム(Dior HOMME)は2001年秋冬のパリコレクションからクリスチャンディオール(Christian Dior)のメンズラインとして発足したブランドです。
クリスチャンディオールとしての歴史は非常に長いですがディオールオムとして設立されたのは極めて最近です。
ディオールオムの発足以前は、「ディオールムッシュ(Dior MONSIEUR)」というメンズラインがありましたが、当時はクラシカルでコンサバティブなブランドで、現在のようなメンズファッションを牽引するようなブランドではありませんでした。
そんな低迷していたメンズラインから新たに誕生したのがこのディオールオムです。
エディスリマン手掛けるディオール
当時イヴサンローラン(Yves Saint Laurent)のプレタポルテライン、「イヴサンローラン リブゴーシュ(Yves Saint Laurent rive gauche)」でメンズ部門デザイナーを担当していたエディスリマン(Hedi Slimane)がブランド立ち上げのディレクターに就任することになり、ここから世界中にセンセーションを巻き起こし、ディオールオムの名を世界に轟かせることになります。
エディの手掛けるディオールオムは、黒の色彩を基調としたレザーのタキシードや細身のジャケット、スキニーパンツを中心としたコレクションで、ストリートファッションが主流だった当時のメンズファッションでは考えられない非常にタイトなシルエットの作品を発表しました。
このディオールオムのスタイルは世界中のファッションに影響を与え、一つのトレンドを生み出します。日本でも多くのメディアに取り上げられ、今でこそ当たり前になっているテーラードジャケットやスキニーパンツを取り入れたスタイルは街中に溢れました。
デザイナー界の皇帝と言われるカールラガーフェルド(Karl Lagerfeld)がディオールオムを着たいがために無茶なダイエットをしたことは有名で、細さをストイックなまでに追求し、その体型を購買者に求め続けました。
クリスヴァンアッシュの就任
そんなエディによるディオールオムは任期満了により、2007年秋冬コレクションで終わりを告げます。
そして2007年4月(2008年春夏~)、新たにディオールオムのクリエイティブディレクターに現デザイナーのクリスヴァンアッシュ(Kris Van Assche)の就任が発表されます。
クリスはディオールオムの立上げ当時、エディのアシスタントをしており、自身のブランドの設立の2004年までディオールオムに在籍していました。
クリスによる新たなディオールオムは、クラッシックでエレガントな要素を取り入れ、エディのディオールとはまた違った、風を靡かせるようなコレクションが多く発表されました。
そして、2012年秋冬シーズン辺りからは、またそれまでとは違った、よりクラシカルでスーツに重きを置いたコレクションにシフトしながらも、ムッシュクリスチャンディオールの手紙をモチーフにしたり、ムッシュが好んでいた鈴蘭をモチーフにしたりと、ムッシュをリスペクトするようなデザインを取り入れたりと、現在に至るまで成長を続けています。
ちなみにエディ在籍時には現デザイナーのクリスヴァンアッシュがアシスタントしていただけでなく、現ランバン(LANVIN)のメンズデザイナーのルカ・オッセンドライバー(Lucas Ossendrijver)、ニコラアンドレアタラリス(Nicolas Andreas Taralis)といった優秀なアシスタントがいたことも人気を博した要因かもしれません。