ドメニコ・ドルチェ(Domenico Dolce)とステファノ・ガッバーナ(Stefano Gabbana)は、ともに、イタリアを代表するファッションブランド「ドルチェアンドガッバーナ(Dolce&Gabbana)」を創立したデザイナーです。
ドメニコ・ドルチェは、1958年、イタリアの西南に位置するシチリア島に生まれます。彼の父親は縫製工場を経営しており、ドメニコ・ドルチェ自身も、幼い頃からその仕事を手伝っていました。家業を手伝うかたわら服飾デザインについて学び、その技術を身に着けたドメニコ・ドルチェは、6歳にして、初めて自分の服をデザインし、仕立てています。その後、世界的に有名なイタリアのファッション専門学校であるマランゴーニ・ファッション学園でファッションを学びました。ステファノ・ガッバーナは、1962年、イタリアのベニスに生まれます。一時期はグラフィックデザイナーとしての勉強もしていました。
ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナは1980年、当時ガッバーナが働いていたファッションデザインスタジオに、ドルチェが入社したことがきっかけで出会います。その後、公私ともにパートナーとなり、1982年に共同経営のデザインコンサルタントの事務所をミラノで立ち上げました。
ドルチェアンドガッバーナというブランド名は、このときの事務所でのエピソードに由来しています。彼らは当初、請求書をそれぞれで発行しており、手続きやコストの面で無駄が生じていました。そこで事務所の経理担当が、ふたりまとめて請求書を作成するよう提案し、以後ふたりの連名の「ドルチェアンドガッバーナ」で請求書を発行するようになります。それがそのままブランド名として使われるようになったのが始まりです。
駆け出しの頃のドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナに関しては、次のようなエピソードもあります。当初は十分な資金もなく、ドルチェアンドガッバーナの最初のコレクション「Real Woman(真の女性)」を発表後も、思ったほどの収入が入りませんでした。そこでガッバーナは、セカンドコレクションのために注文していた生地をキャンセルすることに決めます。しかしドルチェの家族がセカンドコレクションのための資金援助を申し入れ、生地のキャンセルも直前で間に合い、ふたりは、無事セカンドコレクションを発表することができました。
ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナは、仕事のみならずプライベートにおいても長年パートナーとしての関係を築いてきました。ふたりが破局したのは2005年のこと。ロンドンの有名な大学「セントラル・セント・マーチンズ」で行われたインタビューのなかで、彼らの関係の終わりについてガッバーナは次のように話しています。「われわれは毎日同じ部屋にいて、同じ仕事をして、常に顔を合わせて、それはとてもきついことだった」。しかし続けて、「われわれは別の道を模索し…(今や)彼(ドルチェ)は私にとって家族なのです」とも語っています。プライベートでのパートナーシップを解消したあとも、ふたりは良きビジネスパートナーとして、ドルチェアンドガッバーナというブランドを支えています。