音楽シーンからの浸透
労働者のデモ活動から、ユースカルチャーに進展し、さらには幅広いミュージックシーンにもドクターマーチン(Dr.Martens)は浸透していきました。当時、ビートルズや、ローリング・ストーンズ、クイーンなどそうそうたるミュージシャンたちによって愛用されています。
当時のドクターマーチンのブーツには、靴紐は個性豊かな色の紐が使用され、靴のボディにはカラースプレーでデザインされるなどのアレンジがミュージシャンたちによって施されていました。そんな様子が1980年代、MTV(エムティヴィ)を通して世界中の人の目に触れることになります。
その後もドクターマーチンは音楽シーンのみならず、ファッションやコスメなどの分野にも浸透し続けました。音楽との結びつきが、いつしかストリートカルチャーへも発展を遂げ、ファッションブランドとしての成長にも繋がります。この頃、全米への進出も始まり、さらなる拡大を見せていました。
アパレルラインの開始
1990年代に入り、インターネットでの販売を開始したドクターマーチンは、わずか1年半という短期間で5,000万人ものユーザー登録を達成しました。
同時期、ロンドンで活躍するデザイナーとタッグを組み、アパレルラインを開始します。タータンチェック柄をデザインしたブーツが、アパレルラインとのコラボレーションで誕生、話題を呼びました。
「Air Wair」
2000年以降は、ドクターマーチンの特徴であるエアクッションソール「Air Wair」を新たなブランド名に掲げ、新展開を見せることになりました。
新たなブランドではサンダルや、つま先部分に鋼を入れたブーツ、伝統的な黒靴などの多数のスタイルを発表します。ブーツを中心に、年間で約1,200万足もの売り上げを出し、新ブランドとして好発進をします。
2002年からは、生産ラインをアジアに移し製造を行うことになります。2007年、数名の技術者をイギリスのウォラストンに残し、製造を行うことも決定しました。
ここでは、昔ながらの製法により、「1460」のヴィンテージモデルを製造しています。古い歴史のあるブランドだけに、伝統を大切にする心意気を感じる展開でした。
2010年には、ブランド誕生から50年を迎え、これまでにドクターマーチンを支えた、ユースカルチャーや、音楽、アパレルなど多くの分野の人々とともにイベントを開催し、大きな反響を呼ぶイベントとなりました。