1966年、アメリカの有名な小説家トルーマン・カポーティが、舞踏会にてダンヒル(dunhill)にオーダーメイドしたタキシードを着用したことにより、アパレルブランドとしても注目されます。しかしダンヒルは、翌年タバコを販売する企業のCarreras Tobacco Companyに、その後もファッションブランドのカルティエ、クロエ、IWCなどを傘下に置くコングロマリット・リシュモングループに買収されてしまいます。
アパレルブランドとしてのダンヒル
度重なる買収劇に負けず、ダンヒルは1970年代に紳士服の販売をスタートさせました。それから約20年後、ヨーロッパを中心に展開しているメンズブランドのハケット ロンドン(HACKETT LONDON)を買収し、ブランド創立100周年を迎えた1993年には、スイスと本拠地として多くのファッションブランドを傘下に置く、リシュモングループに加わることで中核ブランドとしての成長を遂げます。ここを節目として、タバコ関連事業は、ロスマンズへ売却し、ダンヒルはロンドンのラグジュアリーブランドとして地位を確立していきました。
ダンヒルと日本の関わりも深く、2000年にはサッカー日本代表へオフィシャルスーツを提供し、以降10年以上にわたりスポンサーシップを続けています。2016年には大阪の心斎橋に直営ブティックをオープンさせ、翌年はサッカー日本代表のオフィシャルスーツが全国のダンヒルブティックにて数量限定での一般向け販売が実現しました。
ブランドを支えたデザイナー達
2000年代は高級ブランドとしての地位を確実なものとするべく、約10年の間で3名のクリエイティブ・デザイナーの交代がありました。最初にクリエイティブ・デザイナーを務めたのがキム・ジョーンズ(Kim Jones)で、メンズウェアとレザーアクセサリーの統括をします。キムがクリエイティブ・デザイナーに就任中、ウェストミンスター公爵の旧邸宅で、ダンヒル初のホームであるボードンハウスが公開されたり、ロンドンファッションウォークへの参加があったりと、多くの人の話題を集めました。
キムが退任後は、スコットランド出身のジョンレイ(John Ray)がクリエイティブ ディレクターを担当し、更にはイギリス人のマーク・ウェストン(Mark Weston)へと交代します。ウェストンは、ダナキャランニューヨーク(DKNY)、コーチ(COACH)などでキャリアを重ね、バーバリー(Burberry)ではメンズウェアのシニアバイスプレジデントを務めた経験もある人物です。
ブランドの現在
現在ダンヒルは、紳士服、メンズスーツをはじめ、ネクタイやカフスなどを中心にバッグ、ベルト財布、時計などのアクセサリー関連商品なども取り扱っています。香水は、P&Gにライセンス提供をし、ダンヒルブランドとして販売されています。