イギリスを代表する革靴のトップブランドであるエドワードグリーン(Edward Green)には、多くの顧客たちを掴んで離さない名作ラスト(木型)があります。
シューズのシルエットや履き心地を大きく左右するラストは、どのシューズメーカーにとっても命ともいえる存在です。
#202
エドワードグリーンを語る上で外せない、同ブランドを代表するラストがこの#202です。一度はエルメスに買収された際にこの#202の木型も差し押さえられてしまいましたが、のちにさらに進化して復活を遂げました。
見た目の特徴は、インサイドストレート&アウトカーブ、つまり、トゥが内側に向かって曲がっており、内側のラインが直線的になっている点です。
ラウンドトゥの丸みも、丸過ぎず尖りすぎず絶妙なバランス。スマートな印象がありますが、実は意外に甲幅が広い上、ヒールカップ部分が小さめなのもポイントで、日本人の足にも無理なくフィットします。
履いた瞬間に足にスッとなじむ履き心地が、多くの愛好家たちを虜にしてききただけでなく、全ての靴の基本になった、とまで言われている傑作です。
#82
2003年に登場し、名作#202の次世代ラストと言われているのが、こちらの木型。のちに自身のブランド、ガジアーノ&ガーリングを立ち上げたシューズデザイナー、トニー・ガジアーノ(Tony Gaziano)がエドワードグリーン在籍時に携わったとされています。
英国伝統のシューズスタイルを継承しながらも、若干ロングノーズ気味で、ラウンドトゥも#202に比べて微妙に細身にデザインされており、モダンでスタイリッシュなテイストが加わっているのが特徴です。
#606
名作#202に、気持ちゆとりを持たせたタイプがこの#606です。同じサイズでも、甲の高さが当たってしまう人には、#606がおすすめです。
トゥもほんの少しだけスクウェアにシフトしており、全体の印象はグラマラス。1990年代には、最も人気が高くセクシーな足元を演出してくれました。
#32
細身のラウンドトゥが特徴的なラストが、32です。そのためドーバー(Dover)やハンプトン(Hampton)など、外羽根タイプのシューズに使われることが多いようです。
ただし、その細身のシルエットな上品に見えるため、外羽根であってもフォーマルな印象に仕上がる点が魅力と言えます。
#88
ややラウンドがかったスクウェアトゥが特徴的で、ウエスト部分がキュッとシェイプされています。そのぶんノーズの長さを少し控えてバランスがとれたラスト。現在では、この#88の後継ラストとして、#808や#888なども作られています。
#808
エドワードグリーン再建の立役者、ジョン・フルスティックが手掛けたラスト。ロングノーズと緩やかなスクウェアトゥが印象的で、流れるようなラインが美しいラストです。
さらに少し余裕をとって履きやすくなっているのが、ラスト#888です。甲の幅が広めの日本人には、#888のほうがフィットしやすいと言われています。