世界中の靴愛好家や紳士たちを虜にするエドワードグリーン(Edward Green)には、長きにわたって愛される名作モデルから、時代のトレンドを取り入れた新作まで、バリエーション豊かなモデルたちが存在しています。
ドーバー、ドーヴァー(Dover)
グッドイヤーウェルト製法で作られた外羽根式Uチップのモデル。エドワードグリーンを代表する名作として名を馳せています。
モカ部分を縫い合わせるスキンステッチと呼ばれる技法は、熟練の技を必要とするだけでなく、良質の革を使わないと裂けてしまう恐れがあります。その美しく波打つステッチのディテールに惚れ込んでいるファンも多いようです。
チェルシー(Chelsea)
ドーバーと並んで、傑作と名高いエドワードグリーンの定番シューズ。フォーマルなシーンに映える美しい内羽根式のストレートチップです。シャープでモダンなラインが特徴的なラスト#82をベースとしています。
レースステイの横にあしらわれたスワンネックのステッチラインは、その名の通り白鳥の首のような繊細なカーブが表現されており、1930年以来変わらぬ美しさです。
バークレー(Berkeley)
ストレートチップの名作チェルシーのストレートチップ部分に、パーフォレーション(パンチング等で穴を開けた装飾)を施したモデル。
名作ラスト#202を使ったものと、チェルシー同様ラスト#82を使ったものとあります。
カドガン(Cadogan)
こちらもエドワードグリーンの定番で、セミブローグオックスフォードの傑作とも呼べるモデル。ストレートチップのメダリオン、隋所にあしらわれたパーフォレーションが絶妙にマッチしています。
内羽根なのでフォーマルで使える上に、アクティブなイメージもあってカジュアルっぽくも楽しめる一足と言えます。
ウェストミンスター(Westminster)
元来、15世紀頃の僧侶たちが履いていた靴が原点となっているモンクシューズ。「モンク」とは修道僧を意味しています。インサイドはストレート気味でアウトサイドがグラマラスにカーブしたラスト#888を使用。
ややスクウェアなトゥと、ダブルモンクストラップが特徴的で、ビジネスでもキレイめのカジュアルでも活躍する一足です。
インバーネス、インヴァーネス(Inverness)
上記のウェストミンスターと同じラスト#888を使用したウィングチップ。フルブローグモデルの傑作のひとつと言ってもいいでしょう。
各所に見られるパーフォレーションが見事なのはもちろんのこと、特筆すべきはウィングチップ部分の構造。本来のウィングチップならば別の革パーツをあてて作るところを、一枚革で作り込み、ステッチやパーフォレーションのラインで錯覚させている点です。
実際に別革を使っているウィングチップモデルは「Malvern」(マルヴァーン)と言い、こちらはラスト#202を使用しています。
ゴールウェイ(Galway)
ドレスシューズタイプが多いエドワードグリーンにあって、少し珍しいカントリーシューズがこのゴールウェイ。ですが、レースアップブーツでありながらもスマートに洗練されて見えるのは、やはりエドワードグリーンならでは。
これには、ストレートチップになっている点と、やや張り出したコバ(ソールの横から見た断面部分)なども影響しているでしょうか。シャフトへ向かっての美しい曲線も特徴です。
様々なモデル
この他、こちらは比較的新しい木型#890を使ったシングルモンクタイプの「Ashton」(アシュトン)や、#888を使ったシングルモンク「Oundle」(オウンドル)、ピンギング(革のギザギザカット)のみのシンプルなフルブローグが魅力の内羽根式ウィングチップ「Beaulieu」(ビューロー)など、様々なモデルがあります。
いずれのモデルもエドワードグリーンの職人技と品質へのこだわりが詰まっており、自分好みのモデルを見つけた時は、足元を格段にランクアップしてくれる良き相棒となってくれることでしょう。