1960年代に入ると、エルメネジルドゼニア(Ermenegild Zegna)の会社の経営は、エルメネジルドゼニア(Ermenegild Zegna)の息子であるアンジェロゼニア(Angelo Zegna)とアルドゼニア(Aldo Zegna)に引き継がれていきます。
息子二人への引継ぎ
息子たち二人が行ったのは、多角的な経営で、つまり、取り扱いの商品を増やすというものでした。
1968年に、アンジェロゼニアとアルドゼニアの二人は、イタリアのノヴァーラに新しい工場を建設しました。ノヴァーラという町は、イタリアの中ではそれほど有名な街ではありませんが、ファッションの街として知られるミラノの近郊に位置し、経済的な結びつきのある街です。
ノヴァーラの工場では、コート、スーツ、ジャケット、シャツ、パンツなどが幅広いコレクションアイテムの生産が始まりました。
エルメネジルドゼニアの生地が優れていることは、周囲に広く知られていたため、ゼニアの生地を使ったコレクションは瞬く間に高い評価を受けることになります。
国外展開の始まり
コレクションでの高い評価で自信を得た二人は、コレクションを国外でも販売展開することをすぐに決めます。まず始めは、スペインとスイスに店舗を展開しました。
その後、世界的な規模での販売ルートの拡大に奔走します。また、アクセサリーやスポーツウエアの取り扱いも行い、1972年には、パターンオーダー事業、スミズーラ(Su Misura)を立ち上げました。
このように、現在のような、高品質な原毛を直接買い付けして、紡績、生地作りし、それを使ってプレタポルテと呼ばれる既製服作りを行う事業と、パターンオーダー形式のスミズラーの事業を行う二本柱がこのときにすでに確立します。
生産ルートの広がりだけではなく、販売ルートに関しても国際的な広がりを見せ、ミラノやパリに初めての単独ブランドショップができたのも、アンジェロゼニアとアルドゼニアの頃のことです。
中でも1991年には、他のブランドに先駆けて北京のパレスホテルに直営店をオープンさせ、中国初出店の西洋のメンズウエアブランドとなりました。
更なる取り組み
スーツだけではなく、財布、ベルト、シューズなど様々な商品の展開を行っているものの、アクセサリーや小物までは自社で一貫した生産は困難でした。そこで、2002年に高級レザーアパレルのロンギ(Longhi)を取得します。
同年には、シューズやレザーアクセサリーの世界展開を視野にいれ、サルヴァトーレ・フェラガモ(Salvatore Ferragamo)との合併会社ゼフェル(ZeFer)を設立します。
創業当初より行ってきた地域貢献に対しても熱心で、1993年には、オアジ・ゼニアと呼ばれる自然保護地区を作ることで、トリヴェロの環境保護活動にも継続して取り組んでいます。