変わらぬ「エレガンス」
1952年創業のジバンシー(GIVENCHY)は、パリに店を構えてから60年以上経ちます。その歴史の中で変わらぬコンセプトとして掲げているのが、「エレガンス」です。
ただ単にファッションアイテムが「エレガント」であるのではなく、服を着る人の内なる美しさや本能と相まって「エレガンス」が生まれると考えられています。
オードリー・ヘップバーンの起用
そんなジバンシィの想いを体現してくれるミューズは、オードリー・ヘップバーン(Audrey Hepburn)でした。彼女は、当時の女性のイメージを払拭させるような、活気のある女性だったため、ファッション界のアイコンとして起用されることもありました。
彼女はモダンな雰囲気と自分の意思をしっかりと持ち合わせたため、特にジバンシィのコンセプトにぴったりと合いました。また、オードリー・ヘップバーン自身も、ユベール・ド・ジバンシィ(Hubert de Givenchy)のデザインの虜になったひとりでもあります。
オードリー・ヘップバーンの映画衣装を手がけはじめ、1950年代後半には洋裁紙にもジバンシィの記事が載るようになりました。
互いに影響しあった二人
「麗しのサブリナ」の映画衣装を選ぶ時に、はじめてユベール・ド・ジバンシィに出逢います。会話の中で「ローマの休日」での報酬で、ジバンシィのコートを購入して愛用していることを伝えました。
これをきっかけに公私ともに接点のある関係を保っていたと言われています。またオードリー・ヘップバーンは自分の衣装は自分で決めるというスタイルを取っていたため、ジバンシィにとっても、彼女の影響力が強いものでした。
3作目の「パリの恋人」で、オードリー・ヘップバーンが着ていた、ミドル丈のドレスももちろんジバンシィのものです。
クラシックバレエを踊ることもあってドレスの丈を短くし、アクティブで軽やかなドレスに仕上げました。その結果斬新なドレスに、当時の人々の心を奪ってやみませんでした。
自身の結婚式のときも、ジバンシィのドレスで登場しています。決して派手ではないけれど、エレガントでセンスのあるロングスリーブのドレスは、世の中にインパクトを残しました。
オードリー・ヘップバーンは、ファッションだけでなく、香水もジバンシィのものを愛用しています。1957年に、オードリー・ヘップバーンに捧げる香水として「ランテルディ」を発売しました。
「ランテルディ」の意味は「禁止」という意味があり、オードリー・ヘップバーンがこの香りを気に入り「私以外使用するのは禁止です。」と言ったことから命名されたと言われています。今でも生産しているロングセラーの名香です。
オードリーは公私ともに、30年以上ジバンシィと歩んできました。オードリー・ヘップバーンを語るには、ジバンシィの存在がとても大きいといえます。