歴代デザイナーの大きな功績

1921年、イタリア・フィレンツェで誕生したブランド、グッチ(GUCCHI)。グッチ家の人間が経営の手を引いた翌年にあたる1994年、トム・フォード(TOM FORD)がクリエイティブ・ディレクターとなって倒産寸前だったブランドの再興を果たしました。 以来、歴代デザイナーがブランドの躍進に寄与してきた功績は大きいです。 2004年には、アレッサンドラ・ファッキネッティ(ALESSANDRA FACCHINETTI)及びジョン・レイ(JOHN RAY)、2006年にはフリーダ・ジャンニーニ(Frida Giannin)へとその座は引き渡されます。

アレッサンドロ・ミケーレの生い立ち

そして、2015年からグッチのクリエイティブ・ディレクターに就任したのが当時42歳だったアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)です。 アレッサンドロ・ミケーレは、1973年ローマで生まれました。自然主義で長髪に顎鬚の父親と、ローマに多数の支店を展開するイギリス企業のスタジオで第一アシスタントを務める母親の対照的な両親を持ち、独特で特殊な家庭環境で育っています。 ローマのアカデミア・コストゥーメ・エ・モーダでコスチュームデザイナーの勉強を始め、在学中はボローニャでニットデザインの勉強もしてきました。 卒業後は、フェンディ(FENDI)でシニア・アクセサリーデザイナーを担当します。この頃から、グッチのトム・フォードに才能を見出されており、2002年に29歳でグッチに入社しました。 2006年には、レザーグッズでのデザインディレクターを担当し、2011年にはフリーダ・ジャンニーニの元でアソシエイト・クリエイティブディレクターに就任します。 また、2014年には、グッチ傘下のイタリアの高級陶磁器ブランドであるリチャード・ジノリ(RICHARD GINORI)のクリエイティブ・ディレクターを兼任しています。 そして、2015年にフリーダ・ジャンニーニの後を継ぎ、クリエイティブ・ディレクターへの就任を果たします。

グッチの逸材のデビュー

アレッサンドロ・ミケーレは、ブランドの再興を率いたトム・フォードに才能を見出され彼の元で経験を積み、かつフリーダの開いたグッチの新時代をも経験し尽したGUCCHIの逸材といえます。 アレッサンドロ・ミケーレは、2015年AWコレクションでデビューを果たします。同コレクションでは、フランスの哲学者、ロラン・バルト(Roland Barthes)の「The Contemporary is the Untimely/コンテンポラリーは反時代的である」を引用し、時代の交差点での新たな意味の構築や、自分らしさを選択する自由を説きました。 コレクションの内容も、男性が女性の格好をしたり女性が男性の格好をしたりと、ジェンダーレスや折衷主義と評価の高い内容でした。 先代デザイナー達が築き上げたグッチの伝統を尊重しながらも、自身の反骨精神を露わにし、グッチの新時代の幕を開いたアレッサンドロ・ミケーレの今後に期待が高まります。
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