ブランドの始まり
ハリスツィード(Harris Tweed)は、スコットランド北西部にあるハリス島で誕生しました。
1846年、島の領主ダンモア(Dunmore)伯爵の未亡人ダンモア夫人がハリス島の職人に、マレイ・タータン柄をツィードで織らせました。
その出来が非常に良く、ダンモア夫人はこのツィードをハリス島の産業にしようと周囲にどんどん広めていき、次第に売り上げと評判は上がっていきました。
その後、生産工程を改善し、ハリスツィード産業が始まるきっかけとなります。ハリスツィードの評判は徐々イギリス本土にも広まり、ロンドンなどの大都市で販売されるようになりました。
1910年良質な素材の品質と権利を守るために、ハリスツィードの名前を商標登録し、1911年にストーノウェイ(Stornoway)の会議で、決められた紡績機械のみを使って製造されたツィードを本物のハリスツィードとすることが決定されました。
生産工場も制限され、協会が認定した工場で生産されたもののみ、本物の証明としてオーブ&クロスの紋章が入ったタグをつけることが許されました。
ハリスツィード条例
ハリスツィードは、その後も発展し続け1960年代にピークを迎えましたが、1970年代になると生産は落ち込んでしまい、1980~90年代には苦悩の時代が続きました。
1993年、イギリスの国会は伝統的ファブリックの衰退に歯止めをかけるため、ハリスツィード条例を制定しました。これによって、ハリスツィードの製品や技術は国際的な保護の下に置かれるようになります。
2011年には、ハリスツィード協会誕生から100周年ということで、限定ブラックレーベルが作られて大きな話題となりました。
ブランドの魅力
ハリスツィードは、もともと島の漁師たちが防寒具として着用していたものでした。
羊の毛を紡いで機織で織った生地は硬く重いものでしたが、体が重さを感じないよう熟練の職人が技術を駆使してバランスを取って丁寧に作っているのが、ハリスツィードの特徴であり人気の秘密です。
現在では軽くて肌触りが良いものが生産されるようになりましたが、もともとハリスツィードが持っている重圧感のある風合いは今もなお世界中で愛され続けています。