エルメスの中でも手軽さとカジュアル感で人気の高いバッグが、エブリン(Evelyne)です。エブリンが登場したのは1978年、その名前は、当時の馬具部門のディレクターであったエブリン・ベルトランにちなんでいます。
エブリン・ベルトランがこのバッグを作るにあたって念頭に置いたのは、馬を愛する人たちのためのバッグ、馬の汗などが染み込んだ乗馬用品を傷めることなく持ち運べるバッグでした。エブリンの象徴的なデザインであるオーバルと「H」のパンチング装飾は、その通気用の穴として施されたもので、機能性とデザイン性を兼ねたものだったのです。
物の出し入れがしやすいオープンな開口部、容量を確保する適度なマチだけでなく、絶妙な曲線と直線が織り成す完成されたフォルムで、乗馬愛好家以外からも人気を獲得していったエブリン。実は仕様に微妙な違いのある3モデルが存在しています。
エブリン1(アン)
ショルダーストラップの長さ調整不可、外ポケットなしのタイプ
エブリン2(ドゥ)
ショルダーストラップの長さ調整不可で、外ポケットがあるタイプ
エブリン3(トゥロワ)
ショルダーストラップの長さ調整ができ、かつ外ポケットもあるタイプ。
さらにサイズは3サイズの展開です。
エブリンTPM
横幅約16cm程度のとても小ぶりなタイプ。ハンカチやスマートフォンなど、ごく最小限の小物を持ち歩くにはちょうどいい大きさでしょう。
エブリンPM
日本人の体格に合う大きさで、最も一般的なサイズなのがこのPM。横幅はおよそ28cmでA4サイズもすっぽり入る大きさです。
エブリンGM
横幅約32cmで少し大ぶりなので、荷物が多くなる場合や、長身な方などにはいいでしょう。
エブリンに使われている素材は、おおむねトリヨンクレマンスかエプソン、トゴです。いずれも傷がつきにくく目立ちにくいしっかりしたレザーなので、あとは柔らかさなどの好みで選ぶことになります。
エブリンの持ち方についてですが、エブリンはどうしてもあの象徴的なオーバルと「H」のデザインが目を引くため、そのデザインが施された面を外側にして持ち歩いている人が多いようです。ですが開口部を留めるベルトに注目すると、パンチング面にベルトを固定し、開閉するスナップボタン部分は反対側の面に取り付けられています。つまり、本来はパンチングのない面を外側にして持つように作られているのです。ですから、あえてそういった持ち方をするのも隠れたお洒落かもしれません。