イッセイミヤケが、2013年南青山に新しいコンセプトのストア「リアリティ・ラボ イッセイ ミヤケ(REALITY LAB. ISSEY MIYAKE)」をオープンしました。ストア内は、吉岡徳仁が色彩豊かなラボラトリーをテーマにしたデザインを手掛けています。そのスペースで、デザイナーの三宅一生率いる研究開発チーム「Reality Lab.」が活動の一部を公開しました。
「Reality Lab.」とは、若手のスタッフと熟練の技術者によって構成された、ファッションの可能性を多方面から追求・研究するチームのことです。キーワードは、再生と再創造。日本の伝統的な技術に先端のハイテク技術を組み合わせて、革新的なアイデアで美しいデザインを生み出しています。毎日新聞社が主催している「毎日ファッション大賞」の30周年記念賞を、2012年に受賞しました。
三宅一生と研究チーム「Reality Lab.」による、折り紙に着想を得た革新的な技術としても話題を呼んだ、「132 5. ISSEY MIYAKE」というプロジェクトは、環境や資源などに配慮した新しいモノづくりの研究から生まれました。
これは、ペットボトルやポリエステルを使用した衣服を原料に、分子レベルにまで分解・再生したポリエステル再生繊維を使って、服として再生することに取り組んだものです。
当初は、とても固く服にするのが難しかった素材ですが、織物産地の工場と協力し、約2年にわたり素材の研究を重ねていきました。素材開発と同時に、服としての構造も再考。コンピューターを用いて折り紙の設計・技法などを研究している筑波大学の教授と協働し、根本的な服に対する概念を覆す観点から研究を進めていきました。
CGを活用し、造形的な服を平面に折り畳んでしまうというコンピューターサイエンスの新技術は、今まで見たことがなかった新しいファッションの一面を垣間見ることができます。リアリティ・ラボ イッセイミヤケのストアでは、このプロジェクトで作成されたメンズウェアを展開しており、購入することも可能です。
「Reality Lab.」のプロジェクトから誕生した別の製品が照明器具の「陰翳 IN-EI ISSEY MIYAKE」。シェードには、ペットボトルの再生繊維を100%使用した不織布を使用し、シワ加工によってまるで和紙のような風合いを出しています。
「132 5. ISSEY MIYAKE」で生み出された造形の技術をシェードに用い、平面かららせん状に回転しながら立体へと姿を変えて、骨組みなど使用せずに自立することができる構造となっています。光と影に対する古くからある日本の伝統的な美意識が反映されているのが特徴で、2013年度のグッドデザイン賞金賞や国際的なデザイン賞も多く受賞しています。
他にも、現代男性のためのブランド「オム プリッセ イッセイミヤケ(HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE)」や三角形を組み合わせ、形を変えることができるバッグやアクセサリーブランド「「バオバオイッセイミヤケ(BAO BAO ISSEY MIYAKE)」などを展開しています。