ビスポークとは
ジョンロブでは創業以来150年以上に渡ってビスポークの靴を制作し続けています。
ビスポーク(Bespoke)とは、簡単に言えばオーダーメイドで服や靴を作ることで、顧客が「話を聞かれながら」(Be spoke)仕立てていくことに由来しています。
つまり、対話を重ねて顧客の満足のいく靴を作り上げることを意味しています。顧客が望むデザインを、顧客の足に完璧にフィットするように製作するには、ジョンロブの高い技術を持つ職人たちでも、およそ50時間はかかるといいます。
二つのジョンロブのビスポーク
「ジョンロブの歴史」の記事でも触れた、分裂した2つのジョンロブ、ジョンロブ・ロンドンとジョンロブ・パリでは、それぞれビスポークの靴を作っています。
ロンドンはビスポークのみで、価格は日本円にするとおよそ45万円程度から、一方のパリでは、既製の靴(レディメイド)もあれば、ビスポークもあり、ビスポークの相場はロンドンの倍程度はすると言われています。
クオリティーについてはどちらも遜色ないぶん、ジョンロブ・パリのほうがエルメスの傘下にあるため、よりブランド価値が付いているのではないかとも考えられます。
ビスポークの流れ
ジョンロブ・パリのビスポークは、まずは入念なメジャーメントから始まります。これは注文者の足を採寸する作業で、パリのマスターラストメーカーによってトレーニングを受けたマスターシューフィッターが、店頭で行います。
ソックスを履いたままの状態で紙に足型を写し、甲部分、足周りなどを計測。力のかかり方が変わってくるため、立った状態と座った状態でもそれぞれ測ります。
時間にして約15分から20分、計測方法は実にアナログですが、職人の経験や腕、カンに基づくもので、1日の間での足のむくみなども考慮して、実際に触れながら測っていくのが一番だと言います。
これらの計測方法は、世界中のジョンロブどこでも統一されており、ミリ単位、小数点以下は4分の1単位まで計測され、書きこまれていきます。
場合によっては、注文するのと同じモデルの既製靴を履いて、様々な角度から撮影したものをパリのラストメーカーに送る場合もあるといいます。
一方で注文者は、作りたいモデルやデザイン、素材とする革、ヒールの高さやソールの特別仕様などについて、対話をしながらチョイスしていきます。
メジャーメントと作りたい靴のヒアリング、この最初のアポイントメントに従って足型をシデの木で削り出し、ラスト(木型)を作ります。
そして、革の裁断から縫製その他に至るまで190以上の工程を経て、およそ4ヶ月後にパリから届くトライアルシューズで、2回目のアポイントの際に「トライオン」を行います。
これは、最初のメジャーメントとヒアリングから起こした仮縫いのシューズを履いて、最終調整を行うものです。この最終調整を経て、さらに同様の工程を経た4ヶ月後に完成品が届きます。
最初のメジャーメントから約9ヶ月、妥協のない全工程をクリアすることで、「まるで履いていないようだ」と評される、極上の履き心地を持つ自分だけのジョンロブが完成する、というわけです。
マスターラストメーカーの存在
日本のジョンロブ・パリの店舗においてもビスポークは通年受付けていますが、もしオーダーするなら、年に3回開催される「ビスポークオーダー会」がおすすめだと言われています。
それは、その会に合わせて、パリのビスポークアトリエにいる「マスターラストメーカー」と呼ばれる職人さんが来日するからだそうです。
「マスターラストメーカー」とは、パリのジョンロブのアトリエに約20人ほどいる職人の中でも、ラスト(木型)を作ることを許された熟練の職人にのみ与えられる称号で、たった3人しかいません。ですから、ビスポークを作るなら絶好のタイミングと言っていいでしょう。