ジョンロブのファクトリー

ロンドンから北に100kmほど行ったところに位置するノーザンプトン。ジョンロブだけでなく、エドワード・グリーン トリッカーズ、クロケット&ジョーンズ、チャーチなど有名シューズブランドのファクトリーが立ち並ぶ、イギリスを代表する靴の聖地です。その中のオリバーストリートに、ジョンロブのファクトリーがあります。 ジョンロブのファクトリーでは、靴の製造はもちろんのこと、デザインやラスト(木型)の開発など、靴を作るために必要な全てのことが行われています。このファクトリーのスタッフたちは、職人というより、各自が担当する工程だけを極めたスペシャリストの集まりです。

こだわりのフルグレインレザー

ジョンロブでは主にフルグレインレザーが使われています。革の一番外側の面を日本語では「銀面」と言いますが、フルグレインレザーとは銀面をまるごと残したレザー「銀付き革」のことを指します。 このフルグレインレザーには、形状を覚えようとする特性(可塑性)と、元に戻ろうとする特性の相反する特性が備わっており、これが靴の素材には最適なのだそうです。

入念なチェック

ジョンロブのファクトリーでは、革のなめし業者に出向いて、ファクトリーへの納品前にチェックをし、裁断前にもチェックを行っています。 このチェックでは、ちょっとしたすり傷や切り傷、虫に刺されたあと、グロスマークと言われる首まわりのシワなどを入念に調べていきます。この革から実際に使われる材料を切り出すわけですが、ここでもジョンロブのこだわりが見られます。 例えば既製靴の最高峰のプレステージラインの靴では、一枚の原皮からワンペア分しか取りません。型紙の大きい「CHAPEL」のようなモデルでは、一枚から一足という贅沢さです。 ハンドクリッキング(革の裁断)の場合は、背中を中心として左右対称になるようにカットしていくのが基本です。靴全体で質感に差が出ないように、一足の靴に複数の革から素材を持ってくることはないのです。

美しいフォルムの追求

また、靴の美しいフォルムを損なわないよう、ハーフサイズを含めた全てのサイズに対して型紙が用意してあります。サンプルを一型作って、あとはサイズのアップダウンで済ませる、ということをしないのも、ジョンロブのこだわりです。 ローファーの甲部分のサドルの抜き型やつま先のメダリオンなども、サイズに合わせてバランスのとれた金型が用意されています。 そして次に、裁断されたパーツを縫製するための準備として、それぞれのパーツを組合せるための印を付ける「ステッチマーキング」、裁断面の色を染める「エッジステイン」が、こちらも手作業で行われます。 そのあとに行われるのが、「漉く」(すく)作業、スカイビングで、これは革どうしを合わせた時に、その部分だけ厚みが出ないようにするための作業です。 その後、縫製セクションに入ります。パーツどうしを組み合わせるフィッターと、足踏みミシンで縫製する職人とで、指示書通りに縫い合わせ、アッパー(甲)部分を作っていきます。 その後、ラスティング(釣り込み)と言われる作業に入ります。これは靴の製造工程において最も重要な作業のひとつで、底付けの第一段階です。

靴の魅力

ジョンロブの靴の特徴として、アッパーの革とライニングが別々に仕込まれている点が挙げられます。 これは、スーツの表地と裏地が分かれていることが着心地に影響するのと同じ原理で、アッパーとライニングが独立して動くことで履き心地の良さにつながる、という考えに基づいています。

重要なコルク

ジョンロブの靴は主に、グッドイヤーウェルト製法で作られていますが、この製法で重要となるのがウェルトと呼ばれる、靴の周囲を縁取るように縫いつけられるパーツと、その中に敷き詰められる中物、コルクです。 コルクは湿らせた状態で敷き詰められ、乾いて固まるまで一晩寝かせられます。 緩衝材の役目を果たすこのコルクは、グッドイヤーウェルト製法の靴において、履き心地を左右する重要なパーツ。履き込むにつれてその人の足の裏に沿って変形し、潰れていくことでフィット感が高まるのです。 一晩寝かせたのち、中物のコルクが乾いたら表底を貼りつけ、表底と細革を縫い合わせ(出し縫い)、ソール用の革を濡らしてステッチをかけていきます。 そして、ソールが形を覚えて乾いたら、ヒールの取り付けに入ります。一足一足微調整をし、靴のコバ面(断面)を整えていき、最終段階でさらに微調整を繰り返しながら、最後にクリームを塗り込んで完成へと漕ぎつけます。 ここまで3日間かけて約190の工程を経て完成するジョンロブの靴。ジョンロブが最高級だと言われる所以はいろいろありますが、徹底的にこだわりぬいた品質管理と熟練の職人技によって生み出されていることを考えると、納得の一足であると言えるのではないでしょうか。
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