10周年を迎えるカラー

2004年創立の「カラー(kolor)」は、2014年にブランド創立10周年を迎えました。創立当時のメンバーは、ブランドの創始者かつデザイナーである「阿部潤一」と、阿部が前職時代からともに仕事をしていたパタンナーの2人です。 それから10周年を迎えたカラーは19名ものメンバーからなるチームとなり、日本の南青山に直営店をオープンさせ、さらに海外には35もの店舗を展開しています。2012年にはパリコレクションにも進出し、日本を代表するブランドへと今も日々進化を続けています。 これまでの10年において、一つ一つのコレクションをいいものにすることより、継続してコレクションの発表を行ってきたことに大きな意味があると語っています。この節目を一つの通過点としながらも、スタッフたちの支えあっての10年と感慨深く語ります。この10年で、彼の中ではショーへの考え方に変化が生まれていました。 2012年のパリコレでのランウェイショーをきっかけに、短いショーの中で自分たちの半年間や考えていることをしっかり伝える難しさを痛感しました。さらに自分たちのメッセージが少しでもきちんと伝わるためには、思いついたアイディアをすべて織り込むのではなく、イメージを絞って伝える必要性があるという思いが生まれました。

カラー・ビーコン(kolor BEACON)の誕生

その一方、作りたい商品のアイディアが浮かんでも、コレクション全体の雰囲気に一致しないせいで諦めざるを得ないというストレスも生まれ始めます。そのストレスを解消するために、新しく誕生したブランドが「カラー・ビーコン(kolor BEACON)」です。 コレクションのムードを気にすることなく、自由な発想や作りたい気持ちをアイテムにできるようになり、創造することにおける彼のバランスも整っていきました。 自分がいいと感じるものを正直に出すことが大切で、今自分が思うベストが昔のアイディアだとしても、無理して新しいものを出すよりも昔のものをアレンジして出す方が誠実だと考えていた阿部でした。

ショーを重ねていく上で

しかし、ショーを重ねていくうちに毎シーズン違うものを見せなければならない、という責任感が生まれていったと話しています。阿部のクリエイションは新しいことを生み出す挑戦や変わる努力をしながらも、自分の美意識や気持ちが納得しないものは発表しないというぶれない芯に支えられているようです。 阿部はファッションの仕事をスタートしてから常に、これでいいのかと自分に問いかけ、迷いながら仕事を続けてきました。これからも迷うことは変わらないが、諦めることなく続けていきたいと語ります。
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