黒田雄一氏は、ラッドミュージシャン(LAD MUSICIAN)というブランドのデザイナーであり、そのブランドを運営する会社であるフラワーズの代表取締役を務めています。
黒田雄一氏は、1964年に東京で生まれました。ファッションの聖地パリで設立された世界的にも歴史のあるファッション専門の学校、エスモードジャポンの三期生として卒業したのち、ニューヨークに渡りオートクチュールのウエディングドレスの製作、販売に携わります。ニューヨークから帰国したのち、舞台衣装のデザインやポスターなどのアートディレクションの作成などを経験し、1991年8月に自身の会社、フラワーズを立ち上げ、その後ユニセックスのストリートブランド、ラッドミュージシャンが立ち上がりました。
ブランド名にもある通り、ラッドミュージシャンは、ファッションと音楽を融合させているところが特徴です。シンプルな色使いながらも、ロックな雰囲気が盛り込まれた個性的なデザインのアイテムが数多く揃っています。
黒田雄一氏は、2011年から2012年秋冬シーズンにミニマルアートロック(MINIMAL ART ROCK)というコレクションを発表していますが、当時の東日本大震災の影響をうけ約16年間続けてきたファッションショーが中止になっています。
前の年までは、「ヴァンパイヤ」や「ドリアングレイ」といった強烈なインパクトのあるコンセプトのコレクションを発表してきましたが、この年は、シンプルに着心地のよさやデザインのブラッシュアップに重点をおいていました。
この時に、黒田雄一氏が今まで積み上げてきたラッドミュージシャンというブランドの原点に立ち戻ったことが世間の話題を呼びました。素材や質感など、そのブランドの服を身に着けた時に初めてわかる良さを追求することが黒田雄一氏の考える本当のミニマルであり、ラッドミュージシャンの原点でもあります。
また、ファッションショーが中止になったことに対して、黒田雄一氏は、一度原点に立ち返るという意味では、今のタイミングにあっている、ショーが中止されたことを悲観的に思っていないと発言しており、新しい世界をイメージして洋服を作ることがデザイナーの仕事だと述べています。