数あるルイヴィトンのライン中で、モノグラムと人気を二分しているのがダミエ(Damier)です。ダミエの登場は、モノグラムよりも古く1885年のこと。ルイヴィトンのトランクが人気を博していたことで、便乗するためのコピー品が多く出回り、その対策として生まれたのがダミエでした。
1896年にモノグラムが誕生したのと同時に、ダミエは1度廃止となっていますが、1996年には、モノグラム誕生100周年を記念して復活。モノグラムと共に現在のルイヴィトンの二本柱となっています。
実はこのダミエも、モノグラムと同様、日本文化に影響を受けていると言われています。それが日本ではおなじみの「市松模様」です。市松模様とは、格子柄の一種で、二色の正方形(もしくは長方形)を交互に配置した柄を指しますが、そのルーツは古墳時代にまで遡ると言われています。
当時の遺跡から発掘された埴輪には、既に市松模様が確認されているほか、法隆寺や正倉院の染織品にも同様の柄が見られることから、古来より日常的に使われてきたデザインだと考えられます。その模様に「市松模様」という名前が使われるようになったのは、江戸時代の歌舞伎役者、初代佐野革市松がこの柄の着物を着て人気を博したことに始まっていると言われています。
最近では、2020年の東京オリンピックのエンブレムが、この交互の四角形を組み合わせた市松模様の要素を取り入れていることで、話題になりました。時代を越え、洋の東西を越えて受け入れられる市松模様「ダミエ」が、ルイヴィトンにとって永遠の定番となっているのは、当然と言えるかもしれません。
ダミエ・エベヌ(Ebene)
いわゆるダークブラウンとモカベージュの二色からなる茶系の定番が、このエベヌです。エベヌとはフランス語で「黒壇」を意味しています。通常は単に「ダミエ」と呼ばれます。
ダミエ・ヴェルニ(Vernis)
2000年登場。モノグラム・ヴェルニと同様、エナメル加工を施したカーフスキンにダミエ柄を施したラインです。艶やかなチェッカーパターンは通常のダミエと異なる表情を見せてくれます。
ダミエ・グラセ(Grace)
カーフにダミエ柄を型押ししたグラセが登場したのは2000年秋冬。マリンブルー、レジン、コーラル、ポワニーの4色展開で、マットな質感がビジネスシーンにフィットするラインです。
ダミエ・ジェアン(Geant)
2004年春夏のメンズコレクションで登場しました。登山ロープなどに使われるテルモ・コンプリメ素材を使っており、軽くて柔軟性がありながらも耐久性に優れている点が特徴です。
ダミエ・アズール(Azur)
2006年に登場したアズールは、「紺碧」を意味するイタリア語がその名前の由来です。イタリアの人気リゾート、リビエラの青い海と白い砂浜のコントラストをイメージして作られました。
ダミエ・グラフィット(Graphite)
メンズラインとして2008年に発表されたのがグラフィットです。シックなブラックとチャコールグレーの洗練されたコントラストで、大人の男性に高い人気を誇ります。
ダミエ・アンフィニ(Infini)
2011年に発表されたアンフィニは、フランス語で「無限」を意味しています。カーフより厚手のトリヨンレザー(生後1年以内の雄の子牛)に、ダミエ柄を型押しで表現したラインです。
ダミエ・コバルト(Cobalt)
メンズのディレクター、キム・ジョーンズが手掛け、2014-2015秋冬コレクションで公開されたダミエ・コバルト。深みを湛えた絶妙なブルーの色合いが、ダミエの新しい可能性を広げてくれるコレクションです。