モエ・ヘネシーとの合併
1987年になると、ルイヴィトンの歴史上重要なターニングポイントとも言うべき変革が訪れます。それがコニャックやドン・ペリニヨンなどのシャンパンで知られる酒造メーカー、モエ・ヘネシー(Moët Hennessy)との合併です。
これによりルイヴィトンは、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(Moët Hennessy ‐ Louis Vuitton SE)、略して「LVMH」と呼ばれる一大コングロマリットとして生まれ変わりました。
新デザイナー マークジェイコブス
その後も、1991年には「ノマド」(Nomado)ラインを発表、1993年にはビジネスラインである「タイガ」(Taiga)、1998年には「ヴェルニ」(Vernis)ライン、2005年には「アンティグア」など、次々に新シリーズをリリースしてきたルイヴィトンですが、特に話題となったのは1997年、当時まだそれほど知られていなかったデザイナー、マーク・ジェイコブスの就任でした。
そして、今までバッグや財布などのラインナップだけだったルイヴィトンから、アパレル、シューズの展開がスタート。1998-1999年秋冬からパリプレタポルテコレクションに参加するようになります。
さらに2002年からは時計コレクションもスタート、「タンブール」という作品を発表しました。毎シーズンの新作は、バーゼルワールドやジュネーブサロンといった世界的な見本市で披露されています。2006年には、ジュエリーの新ラインである「ルイゼット」も登場しました。
LVMHのブランド買収
その間にも、巨大企業LVMHは貪欲にブランドの買収を展開していきます。
1988年にはジバンシィ(Givenchy)、1993年にはベルルッティ(Berluti)、ケンゾー(Kenzo)、1994年にゲラン(Guerlain)、ステファノビ(Stefano.Bi.)、1995年にはセフォラ(Sephora)、1996年にロエベ(Loewe)、セリーヌ(Celine)、1999年にタグホイヤー(Tag Heuer)、ゼニス(Zenith)、ショーメ(Chaumet)、トーマスピンク(Thomas Pink)、2000年にエミリオプッチ(Emilio Pucci)、2001年にフェンディ(Fendi)、ダナ・キャラン(Donna Karan)、2008年にはウブロ(Hublot)など、名門ブランド、老舗メゾンを続々と傘下に収め、一大ファッション帝国を築き上げていったのです。
2011年からは、ダンヒルでクリエイティブディレクターを務めていたキム・ジョーンズ(Kim Jones)が、メンズ部門のディレクターに就任。
さらに2014年春夏のコレクションを最後にマーク・ジェイコブスが退任し、後継者として元バレンシアガのニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)が就任しました。現在のルイヴィトンは、この2人によるクリエイティブで新時代を切り開いています。