ミナペルホネン(minä perhonen)創業者であり、ファッションデザイナーである皆川明氏は1967年、東京都に生まれます。輸入家具店を営んでいた祖父母の影響を受け、上質な海外の製品や、世代を超えて受け継がれる日本の物の良さなどを、幼いころから感じていました。学生時代は陸上に夢中になりましたが、怪我が原因で区切りをつけます。 高校を卒業後、フランスにホームステイをし、語学学校で知り合った友人のつてでパリコレの舞台裏でアルバイトをしたのが、ファッションの世界に足を踏み入れるきっかけでした。 「モノづくりは苦手だけれど続けられる」という気持ちが芽生え、帰国後19歳の時に服飾の世界を目指し、文化服装学院に進学しました。 不器用で服がうまく作れない落ちこぼれだったと本人は語りますが、諦めることなく縫製工場、オーダーメイド店、アトリエに2~3年ずつ勤めた経験を活かし、27歳で独立しミナペルホネンの前身であるミナ(minä)を立ち上げます。 フォルムのデザインだけでは、他のデザイナーの方が上だと考えた皆川氏は、生地作りから自分で手掛け、流行やトレンドを追わない素朴なデザインを数々生み出し、徐々に注目されていきます。 皆川氏の服は次々に新しい物を買ってもらうのではなく、お気に入りの1着を長く着てもらうことを考え、丁寧に作られています。破れたり、ほころんだりという場合も全ての製品で直しを受け付けていますし、擦り切れた生地から、わざと鮮やかな色が見えるなど、長く着ることによっての変化を楽しめるデザインの物もあります。 2004年にはパリでもコレクションを発表しはじめ、2006年、毎日新聞社主催の毎日ファッション大賞を受賞しました。 デザインの発想の根元には、マイナス面しか持っていない事象はきっとないという思いがあります。争いのイメージがある迷彩柄を草花で優しく表現し、砂時計では少なくなる残り時間ではなく、記憶や経験が増える面をカラフルに表すなどのデザインも、その思いの表れです。 皆川氏は美術館からショップまで様々な施設の制服もデザインしています。2012年には東京スカイツリーの制服デザインを手掛けたことでも注目されました。スカイツリーの形をモチーフにした遊び心のあるデザインが、訪れる観光客にも人気です。 自身のブランドを立ち上げた時から、100年以上続くようにと考えており、ミナペルホネンのブランド精神を次の世代を担うであろうスタッフに伝えています。「皆川明の旅のかけら」などの書籍も多く発売中です。
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