アメリカのスタンフォード大学在学中だった、フィル・ナイト(Philip Knight)と、オレゴン大学で陸上のコーチを務めていたビル・バウワーマン(Bill Bowerman)が1968年にスタートさせたのが「ブルーリボンスポーツ社」その後「ナイキ(NIKE)」となる前身の会社でした。
1970年代後半社名は「ナイキ」となり、1979年に販売したシューズであるエアマックスをヒットさせ、スポーツブランドの仲間入りとなります。
スウォッシュロゴの誕生秘話
1970年、ブランドを多くの人に広めるために考えたプランが、ロゴの作成でした。ナイキ以前に他社のスポーツブランドはロゴを作成しており、印象的なものばかりで知名度を広げる手立てとなっていました。
ライバルメーカーやブランドとの差別化を図り、動き・速さをイメージさせるスタイリッシュでインパクトのあるロゴをナイキは求めていました。
フィル・ナイトがポーランド州立大学で講師をしており、デザイン科に在籍していた女性キャロライン・デビッドソン(Caroline Davidson)にロゴ作成を依頼したのです。
彼女がいくつか考案したロゴデザインは、満足のいくものではありませんでした。
しかし、印刷などの都合上、早急に決定せざる得ない状況であったため、「時間の経過と共に馴染むだろう」との妥協の末、現在にも続くナイキのロゴマーク「スウォッシュ」となったのでした。
元々ナイキという社名の由来は、ギリシャ神話の勝利の女神である“ニケ(Nike)”。社員のジェフ・ジョンソンの夢にニケが出てきたことから、社名に繋がったと言われています。
このギリシャ神話の女神ニケが持つ翼が、ロゴであるスウォッシュのモチーフとなっています。またスウォッシュの名前には、勢いよく動くという意味合いがあり、動き・速さに着目していたナイキにピッタリのネーミングでした。
このロゴをデザインしたキャロライン・デビッドソンには当時35ドルが報酬として支払われました。1983年、キャロラインにはダイヤモンドの埋め込まれた金のスウォッシュリングが送られ、ロゴの認知度に対する評価を称えられました。
また、ナイキのロゴには往年「NIKE」という文字も同時にプリントされていました。しかし、テニス ウィンブルドン選手権大会にてアンドレ・アガシ(Andre Agassi)選手が優勝した時のことです。
身に着けていた帽子にスウォッシュマークのみがプリントされており、その帽子をかぶったアガシの姿が、ニューヨークタイムズ紙の一面を飾りました。
そのロゴのみのデザインは人気を集め、より印象的なナイキの商品となっていったのです。この状況に、ロゴのみデザインを正式に展開することを1995年決定しました。
今やナイキの顔ともなったスウォッシュは、ロゴのみでもナイキの製品だと分かるほど知名度を高め、今や世界で最も有名なロゴとなっています。