パタゴニア(Patagonia)は、アメリカのカリフォルニアに本社を持つ老舗アウトドアブランドです。登山用品、アウトドア用品、衣料品、軍用品、サーフィン用品など幅広いアウトドアアイテムを製造販売しています。
パタゴニアの始まり
その歴史は、1957年、ブランドの創設者イヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)が、パタゴニアの前身となるシュイナード・イクイップメント(Chouinard Equipment)を創立したところから始まります。シュイナード・イクイップメントは、ロッククライミング用具を製造販売してきたブランドです。
14歳(1953年)からロッククライミングを始めたイヴォン・シュイナードは、当時岩に打ち込まれたままのピトンに問題意識を持っていました。そのため、彼は独学で鍛造を学び、繰り返し使用できるギアを開発し始めます。
出来上がったクロムモリブデン鋼のギアは仲間の中で噂を呼び、彼の元には多くの注文が入るようになりました。1957年、シュイナード・イクイップメントを創設し、数年間は手作業で作ったギアを荷台に乗せて売り歩くことになります。
需要の高まりに合わせて、1965年、航空技師のトム・フロストとパートナーシップを結び、機械での製造に加えて、ギアのさらなる改良を進めていきます。
環境保護活動のきっかけ
1970年までには、シュイナード・イクイップメントはクライミング・ギアにおけるアメリカ最大のサプライヤーにまで成長しました。
しかし、クライミングの人気が高まるにつれ、引き抜かれるギアが使用されることで岩は深刻な破損を被ることとなってしまいます。
岩を傷つけ、自然に害を与える製品を世に送り出す張本人になったことにショックを受けたイヴォン・シュイナード達は、ギアの製造を段階的に中止することを決定しました。このことは、パタゴニアが環境保護の活動に取り組む大きな契機になった出来事でもありました。
1972年には、ハンマーを使わずに手で押したり抜いたりできるアルミのチョックを発表します。これが、段階的に製造を中止してきたクロムモリブデン鋼のギアと替わって大ヒットを生み出すことになりました。
ウェアブランド展開へ
1970年、イヴォン・シュイナードはスコットランドのクライミングでラグビーシャツを使用します。それまでクライミングでは白シャツに裾を落としたチノパンがウェアの定番だった中、頑丈な縫製や明るいデザインのラグビーシャツは仲間に好評でした。
そこで、イギリスなどからラグビーシャツを輸入し販売したところ、すぐに在庫がなくなる程売り上げを伸ばしていきました。ウェアの販売が増すにつれ、ウェア部門専用のブランド名が必要になり始めます。
そして、1973年、衣料品部門のブランドをパタゴニアと名付けます。地図上にない遠隔地というイメージと、どの言語でも発音しやすい言葉であることがブランド名採用の理由でした。