1966年にイタリアで誕生したセルジオロッシ(Sergio Rossi)は、上品で洗練されたハイヒールを世に次々と誕生させています。官能的でエレガントなデザインでありながら足に吸い付くような履き心地の良さは、海外セレブを中心に世界中の女性たちを夢中にさせました。
2004年にクリエイティブディレクターに就いたエドムンド・カスティッロ氏(Edmundo Castillo)は、セルジオロッシで初めてブライダルラインを新展開させます。高さ10cmのハイヒールや妊婦でも安心のフラットシューズなど、24種のブライダルシューズを発表しました。
2007年にはカンヌ映画祭の60周年を記念した限定シューズを発表するなど、新しいことにも次々に挑戦していきました。
2008年10月から活躍したのが、フランチェスコ・ルッソ氏(Francesco Russo)です。1974年、イタリア南部にあるプーリア州で生まれ育っています。イタリア・ミラノの名門校であるマランゴーニ学院に入学し、ファッションデザインについて勉強します。
卒業後は、ミュウミュウ(Miu Miu)やコスチュームナショナル(CoSTUME NATIONAL)といったイタリアの有名メゾンで修業をしながら働きました。得意分野であった靴やアクセサリーのデザインを数々経験して着実にキャリアを築いた後、セルジオロッシのクリエイティブディレクターの座に就任します。
フランチェスコ・ルッソ氏の仕事は、靴のデザインだけに留まりません。バッグやアクセサリーといったブランドが発表するすべてのコレクションに携わり、店の内装や装飾など空間のディレクションも行いました。
以前彼は、「時代の空気こそ敏感に察知するものの、トレンドを追いかけることはしない」と発言したことがあります。そこには、時代の流れを受けつつも伝統を守り続ける老舗ブランドとしての揺るぎない信念を感じることができるでしょう。
フランチェスコ・ルッソ氏の後を引き継ぐ形で入社したのが、アンジェロ・ルジェリ氏(Angelo Ruggeri)です。
2013年にデザインディレクターに就任しました。
彼もまたイタリアの出身で、地中海の豊かな風土が魅力のシチリア島で生まれ育ちます。デザイナーを目指したのはなんと6歳だったというほど、生まれながらにしてファッション業界を夢見ていました。靴工業大学で靴について学び優秀な成績で卒業した後、ジョルジオアルマーニ(Giorgio Armani)にデザイナーとして採用されます。
その後2006年にセルジオロッシに転職し、デザインチームに配属され5年間デザイナーとして働きました。一旦はセルジオロッシから離れますが、トムフォード(Tom Ford)というブランドのデザイナーをしていた2013年、セルジオロッシから声がかかりデザインディレクターとして戻ります。
アンジェロ・ルジェリ氏は、創業当時の知的でクラシカルなムードを守りつつも、洗練された色や素材、現代的なディテールを上手く融合させたデザインを発表しました。クラシックと新しい要素の相反する要素を見事に組み合わせた仕上がりは、コレクションでも高い評価を得ています。