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俳優からデザイナーへ
トムブラウン（THOM BROWNE.）は1965年、ペンシルヴェニア州の生まれです。インディアナ州ノートルダム大学では経営学を専攻していました。
その後ロサンゼルスで俳優業を経験した後、ファッション業界に転向します。
アルマーニのショールームや、ラルフローレンが展開するブランド「クラブモナコ」（Club Monaco）など、いくつかのファッションブランドを経験して、1995年頃からデザインの活動を開始しました。
トムブラウンニューヨークのスタート
その後2001年、自身の名前を冠したブランド、トムブラウンニューヨーク（THOM BROWNE NEW YORK）を立ち上げました。主にカスタムメイドのみの紳士服として、世の中に認知され始めました。
2004年のAWシーズンからプレタポルテでニューヨークコレクションに初参加し、ここから一気にブレークを果たしていき、ファッション、デザイン関連において数々の賞を総なめ、一躍有名ブランドにのし上がることとなりました。
2010年SSシーズンより発表の場をフランス・パリに移して、メンズラインをパリで、ウィメンズラインをニューヨークでそれぞれのコレクションを発表しています。
「アイビールック」
トムブラウンの特徴としては、彼自身も愛する、1945年のアメリカ東部で流行した“アイビー・ルック”をベースにしたファッションで定評がある点です。
アイビーとは、ハーバード大学を主としたアメリカ東部の伝統あるアイビーリーグ校の学生たちが好んだ服装にモチーフを得たファッションのことです。
校舎にからまる蔦や、INTER-VARSITYを略したものという所からそう呼ばれるようになりました。このアイビールックは世界中に影響を与え、1960年代からは日本でも大流行したほどの有名なファッションスタイルです。
トムブラウンでは、このアイビールックを取り入れたスーツやシャツ・シューズをはじめとするコレクションを発表しており、これが世界中の男性からの支持を得ました。
アメリカントラッドの再構築
古きよきアメリカントラッドを現代に向けて再構築する点でトムブラウンはとても評価されています。基本的なカラーはグレーを用います。
スーツからシャツ、カーディガンなどの定番アイテムをはじめ、コレクションラインでは毎回かなり個性的なアイテムを発表し我々を楽しませてくれています。過去と現在の融合です。
路面店のオープン
2005年には、トムブラウンの長年の友人で建築家であるデイヴィット・ビスカイエ氏がデザインを担当した路面店が、ニューヨークのトライベッカにオープンしました。
この店舗は、1950年代の銀行やオフィスをイメージした内装となっており、大理石の壁やテラゾーの床、アンティークの家具や什器を設置するなど、トムブラウンの美意識が随所に反映されている作りになっています。
ちなみに看板は出ておらず、訪問の際はアポイントメントが必要なシステムになっているので注意が必要です。
最近では、新しい取り組みとして、2014年AWシーズンから“クロージングプログラム”という完全オーダーメイドの服を作り、形も従来と違い昔のスタイルを思わせるなど、原点回帰をも行っています。今なお進化を続けるブランドの一つと言えるでしょう。
