ウィングチップシューズ
トムブラウン(THOM BROWNE.)の代表的なアイテムの一つにウィングチップシューズがあります。
ウィングチップとは、爪先の革の切り替え部分に使われる革片(チップ)が翼のような形をしているのが名前の由来となっています。爪先のW型模様の穴飾りも特徴的で、別名「おかめ飾り」と言います。
グッドイヤーウェルト製法
トムブラウンのシューズのほとんどは“グッドイヤーウェルト製法”で作られています。
そのグッドイヤーウェルト製法とは、アメリカのチャールズ・グッドイヤー2世が確立した機械的な方法の事です。名称はもちろん発明者から取られました。
靴の種類甲底に貼り付けられたテープのリブと呼ばれる部分に甲革、裏革と細革と呼ばれる細い帯状の革(ウェルト)を縫い付け、どの細革とソールと縫合します。
ソールと甲革が直接縫い付けられていないため(複式縫い)、ソールが磨り減った場合は“オールソール”と呼ばれる、靴底全体を新たなものに付け替える修理が可能となっています。
ただし、構造的に堅牢であるため比較的に重く、硬い仕上がりになります。
工程も複雑なため、他の製法による靴に比べ、販売価格が高めに設定される事が多いとされています。主にビジネスシューズやワークブーツなどに用いられる事が多くなっています。
歩行性・緩衝性に優れていて、また長時間着用を続けられるように通気性にも優れたものが多くなっています。
長所としては、“水が浸入しにくい事”、“内蔵されたコルクが緩衝材となるため、長時間の歩行に適している事”、“長時間使用していると、上記のコルクが沈み込み、使用者の足の形に変形するため、独特のフィット感がある構造上、比較的に堅牢な造りのものが多い事”、“靴底と甲革が厚手の物が多いため、型崩れしにくい事”などが挙げられます。
他にも主流な靴の製法しては「マッケイ製法」、「サイドステッチ製法」、「ステッチダウン製法」、「ラバー製法」などがあります。
シューズの魅力
トムブラウンのシューズは外羽根式のコバが張った、ロングウィングチップタイプのシューズが主流です。かかと部分にあるグログランテープの色はレッド・ホワイト・ブルーが主流ですが、グレーを使用していた時期もあります。
歩くたびにカチッカチッと鳴る歩く際の音がトム本人のお気に入りで、ソールとフロント部分にはタップシューズのようにスチールが打ってあります。もちろん、補強としての役目も担っています。
ブラックのスコッチグレイン・カーフレザーが主流で、スムースレザー・ホワイトヌバック、スペクテイターシューズなども過去に展開していました。
トムブラウンのスーツにはもちろん、ドレスにもカジュアルにも履ける汎用性の高さがあります。光沢のあるスムースレザーよりも手入れがしやすいのも特徴で、大事に手入れさえすればソールを交換して履き続けられる逸品となっています。