SCAB 「瘡蓋(かさぶた)」
アンダーカバー(UNDER COVER)の2003の年春夏コレクションのテーマは「SCAB」です。
このテーマは直訳すると「瘡蓋」(かさぶた)という意味になります。このコレクションはアンダーカバー(UNDER COVER)にとって初のパリコレクションに参加したシーズンです。
初のパリコレクションに対しデザイナー高橋盾は、いつも以上のクリエーションを世界に披露します。
コレクションの概要
テーマにある「かさぶた」とは一枚一枚手作業でパッチワークされた生地で表現しています。また使われている生地を1つ1つ破り、ぶら下げる等といったディティールを加えていきます。
パッチワークというのは1980年代中期からイギリスのアンダーグラウンドシーンで流行した「クラストパンク(Crsut punk)」からインスパイアされています。
そこにインドの民族衣装のエッセンスやガラムボール(インド発祥の鈴ような楽器)をモチーフとしたアクセサリーを縫い付けて使用します。
全ルックにこのような途方もなく作業時間を要するコレクション構成で、高橋盾をはじめとするスタッフの制作作業は連日深夜、コレクション前日まで続きました。
その極限状態で完成されたアイテムは廃退的かつダークな印象を惜しげもなく打ち出し、アンダーカバーを代表するコレクションになります。このようなコレクションを完成させた真意は高橋盾の真摯な洋服づくりの姿勢からでした。
世界からの高い評価
このコレクションをきっかけにパリでのコレクション発表が本格化していきます。クラフツマンシップとダークで印象的なデザインを併せ持つ「アンダーカバー(UNDER COVER)」の魅力は、世界でも高い評価を受けることになります。
メンズコレクションはそのかさぶたに見立てたパッチワークをストレートにクラストパンク(Crsut punk)スタイルで表現します。
無数の切れ端をパッチワークして制作する「クラストパンツ」や「バムフラップ」など、印象的なアイテムを数多く展開します。
またレディースコレクション同様、すべて手作業による制作のため基本的には同じアイテムが存在せず、パッチワークする場所や生地はひとつひとつ違います。
そのことで生産数も限られてしまうこともあり、シーズン立ち上がり日は青山店に行列になりました。後にデザインをアップデートし復刻するほど、現在でも人気の高いコレクションです。