「解剖的」+「仕立て」
アンダーカバー(UNDER COVER)の2013年秋冬のコレクションのテーマは「アナトミッククチュール(ANATOMICOUTURE)」です。このテーマは「解剖的な」という意味の英語「アナトミック(anatomic)」と「仕立て、縫製」という意味のフランス語「クチュール(couture)を合わせた造語です。
このコレクションはアンダーカバー(UNDER COVER)のパリコレクション4シーズンぶりの参加になります。年数にして約1年ぶりのパリコレクション参加にあたり、デザイナーの高橋盾は「自分らしい『何か』を表現したい」という気持ちでコレクションの製作をスタートします。
その起源となったのは2013年の1月にコレクションと別に1点物7着のカスタムコレクション発表です。この製作の延長線上のコレクションとして「アナトミッククチュール(ANATOMICOUTURE)」の製作を始めます。
迫力のコレクション
テーマにある「仕立て、縫製」を手仕事に徹底した作法(さくほう)で、「解剖的な」を人間の内面を露出するようなフィーリングと人体の骨や内蔵のモチーフ、服のパーツを解体することで表現しています。
また、全ルックにキャバレーで使用されているような鳩目を装った仮面を着用しています。この仮面には、服の内面を覗き見する「眼」と重なるイメージとし、コレクションテーマをより引き立てています。
その仮面を装ったルックには骨格・五臓六腑・脳髄のモチーフとしたジャガード・プリントを施したドレスやシャツでコーディネートしています。印象的なテーマのコレクションであり、後にデザイナー高橋盾は「今見ると少しだけ気負いを感じる」と当時の製作期を語りました。
この1年ぶりのコレクションに、パリでは「ユーモラスでありながら童話のような恐ろしさも秘めたブランドらしい迫力十分なコレクション」と評価され、会場は拍手に包まれました。
「ハギパンツ」
メンズコレクションはコレクションテーマへの連想を普遍的なアイテムで表現しています。中綿入りのフライトジャケットの背面には骨格をレザーパッチで表現、スキニーパンツにも骨格と手仕事を併せ持った「ハギパンツ」を発表。
特にこの「ハギパンツ」には洗い加工を施した生地を横長に裁断しパンツ状につなぎ合わせた表現が過去のコレクションでも登場した「クラストパンツ」と重なり、往年のファンから高い評価を受けることになります。
またあまりにも人気が高いこのアイテムは後のコレクションでもアップデートし使用されることとなります。
時代にあったコーディネートとアンダーカバー(UNDER COVER)がもつ独特かつ構築的なデザインで表現した人気の高いコレクションです。