ヴァンクリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)の歴史は1896年にダイヤモンド研磨職人の息子、アルフレッド・ヴァン クリーフ( Alfred Van Cleef )と、宝石商の娘であるエステル・アーペル( Estelle Arpels)が結婚したことから始まります。
2人は1906年にふたりの名前を冠するブティック、ヴァン クリーフ&アーペルをパリのヴァンドーム広場にてオープンさせます。
当時より、アルフレッドは経営者としての才能だけではなく、宝石のカッティングのセンスも素晴らしいものでした。また、共同でビジネスに参加していたエステルの兄、ルイアペールは営業のセンスに長けており、エヴァ・ペロン〈Eva Perón〉、マレーネ・ディートリッヒ〈Marlene Dietrich〉など名だたるセレブを次々と顧客につけていきました。マレーネ・ディートリッヒはヒッチコックの映画にてヴァンクリーフ&アーペルのネックレスを身につけて出演したことがよく知られています。
1923年、初めての時計を製作します。その後、ジュエラーとしての世界観と高級ウォッチ製作の専門的技術が融合、服につけるクリップとしても使える時計、ブレスレット仕様のジュエリーウォッチなど次々と豪華な時計を生み出していきます。その集大成となるのが1936年に誕生する「カデナ」です。
南京錠に独創的なクラスプを備えるというユニークなアイディアが光るこのラインナップは、世界中にヴァンクリーフ&アーペルの名前を大きく轟かせることに成功します。
また、1925年には「薔薇の花」という名前のでアール・デコ展大賞を受賞しました。また、1930年には洗練された美しいイブニングバッグ、ミノディエールを発表、続いて1931年にはパリにて開催されたコロニアル博覧会に置いてグランプリを受賞するなど、ヴァンクリーフ&アーペルは躍進を続けます。
1933年には表からは石を支えているつめの部分を見えないようにする特殊な技巧、ミステリーセッティングを開発しました。ミステリーセッティングは、ヴァンクリーフ&アーペルの工房の、黄金の手を意味するマンドールと呼ばれる職人のみが完成させることできる技巧で、現代においても数多くの高級ジュエリーに用いられています。
1955年には、グレースケリー(Grace Kelly)が婚約祝いにヴァンクリーフ&アーペルのパールとダイヤモンドのネックレスを受け取ります。これは、3つのパールネックレスをダイヤモンドによってひとつに結んだもので、非常にエレガントなデザインが大きな話題となりました。
また、グレースケリーがモナコ王妃になった際、ヴァンクリーフ&アーペルがティアラのデザインを手掛けたことも評判を呼びました。