2014年に新しく誕生したブランドであるヴェトモン(Vetements)のブランドCEOであり、経営戦略を行っているグラム・ヴァサリア(Guram Gvasalia)がラグジュアリーブランドであるヴェトモンについて語っています。
あえて作りすぎない
その中で、ラグジュアリーとは、店に行けばすんなりと、欲しいものが手に入ることではなく、再入荷や、追加生産をせず、手に入るチャンスが限られていることを指しています。
至極希少なもので、売り切れたものはそれでおしまいだという、価値付けを守りたいという考えのもと、商品作りを行っているため、ファーストシーズンで作成したフーディは、あっという間に完売して、再リクエストも受けています。
作ろうと思えば作れるものを、敢えて作らないという、ヴェトモンのスタイルは、最初に買ってくれた方への、敬意を表しているのでした。
需要と供給について、経営学でも学ぶように、その2つの曲線が交わる点に、どのくらいの量の商品を市場に出すのか検討する必要があります。セールになってしまう場合には、商品を作りすぎてしまったということになるため、需要と供給が交わるより少なく作り売り切ることを念頭にアイテムの需要も計算しています。
このように、商品を売り出す量を減らし、間口を狭くすることがブランドの成長に欠かせないのには、理由があります。一度成長した時に、そのスピードを速めてしまいすぎず、あるポイントに留まることが大切です。
レディースコレクションの売れ行きがとても良い時にも、レディースを多く売る代わりに、メンズコレクションを限定的に取り引きしました。そして、10本以上のデニムを売らないことや、1型4点以上のジャージー商品を卸さないという決まりを設け、置ける商品を徹底して取り決めています。
スローファッション
価格帯もだれでも手に入る安価なものではない点もヴェトモンの魅力を秘めています。素晴らしい工場で生産しており、チープなものは作っていません。そして、服を製作する場合に、通常の2倍近いコットンを使い、生地作りを行っています。
そのように、いい製品を作るためには、素材を扱う手間や、送料など見えない部分にとてもお金がかかります。オーバーシルエットのものともなると、さらに生地が必要となるため、大変高価なものとなります。
お金を貯めて購入し、長い期間大切に使って頂けるものを提供するという魅力が素材からもよく分かります。ファストファッションが時代の流れとなる中、その逆を進むスローファッションという発想が、ヴェトモンの魅力です。