ヴェトモン(Vetements)が独創的でエレガンスなブランドであるメゾンマルジェラ(Maison Margiela)から受けた影響は、大きく5つあります。
衣服の再構築
まず一つめは、衣服の再構築を行っていることです。脱構築的なマルジェラの哲学を踏襲し、ヴェトモンの洋服は、バラバラに切り分けた後に繋ぎ合わせて作られています。
そしてTシャツやジーンズなど全般的な服は、生地を敢えて不揃いに切りそろえて再構築し、サイズが合わないルーズなシルエットに作成されています。
ヴェトモンの中でも人気のクルーネックのスウェットや、フーディは、前後に2つのネックラインを用い、前でも後ろでも着られるデザインに作り上げています。また、2016年の春夏コレクションのオーバーシャツにおいては、2つのシャツを繋ぎ合わせて作られています。
オーバーサイズ
2つめは、オーバーサイズに作る、服のサイズ感です。近年では、流行となっているオーバーサイズですが、マルジェラの服作りの歴史の中でも、特に2000年の秋冬コレクションに置いてみることができます。
大きくうねったようなズボンのシルエットや、圧倒されるようなアウター、そしてダボダボとしたスカートは、大きく見えるシルエットにより目立たせることで、新しい美を形作っており、ヴェトモンの服にも見られ影響を受けていました。
パッチワークジーンズ
3つ目は、マルジェラの1999年の春夏シーズンでも登場したパッチワークデニムです。不揃いな生地を継ぎ接ぎした、パッチワークジーンズは、デニムの色合いを見事にデザインに取り入れています。
サイドシームでつなぎ、ポケットがスライドダウンしたものなど個性的なデザインが特徴的です。
ロゴデザイン
そして最後に、服のボディ部分を横切るように描かれたロゴデザインの部分が挙げられます。マルジェラの1999年の春夏コレクションのスーツジャケットに用いられたデザインと類似しており、影響を受けたことが分かるポイントです。
ヴェトモンのTシャツでは、Tシャツの長い袖部分と、ボディに“Deutschland”という文字がプリントされています。この文字は、デザイナーのデナム・ヴェザリア自身が、青春時代を過ごしたドイツに対してのオマージュとして、デザインされたものです。