ヨウジヤマモトでは、2015年春夏から新しく、ニットウェアを主に展開するラインが加わりました。その名も「plyy by RAGNE KIKAS」(プライ・バイ・ラグネキカス)。「ply」とは、「使う」「作業する」という意味で、ラテン語の「plicare」(折りたたむ 捻じる)から派生した「apply」の短縮系です。また、ニットウェアの世界では糸の太さを指定する際に使われる言葉です。 この新ラインのコンセプトは、ユニークなディテールや新鮮な色の組み合わせを使いつつも、気兼ねなく着られるようなシンプルで気負いのないニットウェアを作ることです。バリエーション豊かな表情を持ちながら、幅広い年代に受け入れられるコレクション展開を目指しています。 プライ・バイ・ラグネ・キカスのニットを作る際に使用される素材は、2種類の100%コットンやコットン・カシミア混、あるいはコットン・ヴィスコース混など、厳選された4種類の糸。これらの糸を巧みに使った遊びのあるドレープや捻じり、レイヤーなどのクリエイティブな側面と、そのアイディアを編み物という形に構築する技術的な側面の融合によって成立しています。 この新ラインのディレクションに抜擢されたのは、ライン名にもあるラグネ・キカス(ラーニュ・キカス Ragne Kikas)という人物です。彼は1984年にエストニアで生まれました。エストニア、ラトヴィア、リトアニアのバルト三国は、古くからニット産業が盛んな国々で、例えばエストニアの首都タリンの旧市街には、城壁に沿ってニット屋台がずらりと立ち並んでおり、「セーターの壁」と呼ばれているほどです。伝統的に生活にニットが密接しており、通常よりも細かく編み込むため、風を通さないほど目が細かいのが特徴です。 そんなお国柄の地域に生まれたラグネキカスは、母親のもとで5歳の頃から編み物に接していました。その後、ドイツのハンブルグ応用科学大学に進学してファッションデザインを専攻、さらに本格的に編み物に打ち込みます。そして2012年のイエール国際モード&フォトグラフィーフェスティバルで、卒業制作「Dress Code Defensive」を発表。見事にプルミエール・ビジョン賞と市民賞の受賞を果たしました。その時の審査委員長が山本耀司だったのです。プルミエールビジョン(Premiere Vision)とはパリで年に2回開催される世界最高峰のテキスタイル見本市で、世界のトレンドに大きな影響を与えるほどの力を持っています。その賞を受賞したのですから、ラグネ・キカスの力量が高いものであったことを物語っています。 こうして、イエールのフェスティバルで山本耀司の目にとまったラグネ・キカスは、ヨウジヤマモト社に入社。2013-2014年秋冬より、ヨウジヤマモト・ファム(Yohji Yamamoto Femme)のニットウェアを担当したのち、自身の名を冠した新ラインの設立となりました。幼少の頃から慣れ親しんだニットというジャンルでどのような飛躍を見せるのか、今後が期待されるデザイナーです。
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