Y-3(ワイスリー)は、2003年よりアディダス(adidas)とヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)のコラボレーションで始まったブランドです。元々、2001年にYohji Yamamoto Homme/Femmeの中のコレクションとして、「adidas for Yohji Yamamoto」を限定的に展開したのが、そのきっかけでした。その協業の中でお互いの信頼関係を深めていった結果、2003年に山本耀司をクリエイティブディレクターとして正式に迎えて誕生したのです。
ジェンダーの既製概念を破ったヨウジヤマモトのクリエイティビティーと、アディダスの本領であるスポーツ分野での専門的なテクノロジーが融合したY-3。アディダスのトレードマークである3本ラインのパターンや配置に、山本耀司のデザインを加えて、いまだかつてなかったモード×スポーツを提案する先駆け的ブランドとなりました。山本自身「スポーツウェアをエレガントでシックなものにしたい」という思いがあり、その夢が実現したのと同時に、アディアスと一緒に仕事をすることで刺激を受け、クリエイティブライフが豊かになったとコメントしています。
ブランド設立より10周年となる2013年には、記念となるコンピレーションアルバムを製作。そのアルバムの参加アーティストは、Alex from Tokyo名義でも知られるアレックス・プラットほか、世界的に評価の高いデュオユニット「Ame」(アーム)の1人、フランク・ヴィーデマン、ニューヨークの伝説的DJ、ホアキン"ジョー"クラウゼルなど、その世界で名を轟かすような豪華メンバーが揃い踏み、しかも音源はフリーダウンロードで入手できるという、大胆な企画で話題を呼びました。
さらに同年の秋冬コレクションでは、ランウェイをライブ配信しピンタレスト(Pinterest)と連動させるといったインタラクティブな試みも導入するなど、常に先進的で新しいことに挑戦しようという姿勢を印象づけました。
その翌年には、プロサッカーのスペインリーグ(リーガエスパニョーラ)に所属するビッグクラブ、レアルマドリードの2014-15シーズンサードユニフォームのデザインも担当。その際には、レアルマドリードの守護神イケル・カシージャスが、山本耀司とのツーショット写真をインスタグラムにアップしています。
2016年には、テニスの全仏オープン(ローランギャロストーナメント)に向けたコレクション、「アディダス・ローランギャロスコレクション・バイ・ワイスリー」(adidas ROLAND GARROS COLLECTION by Y-3)も発表しています。このコレクションでは、1940年代、1950年代のダズルカモフラージュからインスピレーションを得た、流動的にツイストしたストライプが特徴です。中でも「バリケード 2016 ブースト」(Barricade 2016 Boost x Y-3)は、安定性、耐久性ともに優れたテニス用スニーカー「バリケード」に、長時間のプレーでも高いパフォーマンスを維持できるようにBoostフォームを搭載、しかもツイストしたストライプで、注目のアイテムでした。その他、メンズ、ウィメンズからそれぞれ、ジャケットやドレス、ソックス、リストバンドなどがリリース。ジョー・ウィルフリード・ツォンガ選手や、アナ・イバノビッチ選手など、アディダスと契約するトップテニスプレーヤーたちが着用しました。
また、同2016年、Y-3で初となるスポーツに特化したライン「Y-3 SPORT」も発表。アディダスの優れたファブリック、テクノロジーに新しいアイディアを加えることで、スポーツとファッションが一体となった「スポーツウェアの未来像」を提案しています。このコレクションについて、Y-3のシニアデザインディレクターであるローレンス・ミッドウッドは「どのアイテムも、ジムだけにとどまらず、様々なスポーツ、フィットネスでのトレーニングシーンに、多様に対応できるものとなっています」と語っており、本格的なスポーツウェアであることへの自信をのぞかせています。
さらに同2016年より、宇宙旅行ビジネスを手掛けるイギリスのヴァージンギャラクティック社とも提携。同社のパイロットや将来の宇宙飛行士、地上のオペレーションチームに向けたフライトジャケットやブーツなど、スペースアパレルの開発にも携わっています。世界初の民間宇宙旅行用アパレルの開発には、スタイリッシュなアパレルを提案できるクリエイティブと、宇宙服に必要なテクノロジーの両立が求められましたが、まさにY-3がジャストフィットだったのです。
モード×スポーツの新しい可能性を提案し続けるY-3は、私たちを未知の領域へと導くブランドとして、今後も進化を続けることでしょう。